相続税・贈与税の延滞税と加算税はどのくらいか?
相続税や贈与税を納税しないで期限を過ぎてしまったり、本来の金額より少なく申告・納税してしまうと、通常の税金のほかに、…[続きを読む]
相続税は相続財産にかかる税金です。親や兄弟から相続した貴重な財産なのに、どうして税金で持っていかれるの?と思う方もいるでしょう。
仮に、相続税や贈与税を脱税して払わないとどうなってしまうのでしょうか?
「相続税は申告して課税されるから、そもそも相続税なんて申告しなければ脱税もバレないのでは?」
なんて甘いことを考えていると大変な目に遭うことになります。
人が死亡すると、市区町村に死亡届を出しますが、この情報は税務署ともリンクしています。
つまり、市区町村は死亡届を受理すると、その情報を税務署にも通知します。
これは、相続税法第58条に定められていますので、税務署に通知しないでほしいと申し出ても、通知されてしまいます。
よって、税務署は、あなたの親族が死亡したことを知ることが出来るのです。
さらに税務署は予め死亡した場合に相続税が課税されそうな人をリストアップしていて、それらの人がきちんと相続税申告をしてくるかどうかチェックしています。
そして万が一これらのリスト対象者が相続税申告をしてこなければ、後日、税務調査をして発見することになります。
もしも脱税して税金を払わないと次のようなペナルティがかかってきます。
延滞税 | 最大14.6% |
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無申告加算税 | 最大20% |
過小申告加算税 | 最大15% |
重加算税 | 最大40% |
脱税の場合は、意図的で悪意がありますので、おそらく重加算税が課されます。下手をすれば、刑事罰で懲役刑もありえます。
ここでは、詳細な説明を省略しますので、詳細は下記をご覧ください。
脱税しても、なんとか見つからなければ大丈夫と考える人もいるかもしれません。
確かに、相続税には時効という概念があり、申告期限より通常は5年間、悪質性がある場合は7年間です。その間に税務調査がなく、時効の期間を過ぎてしまえば、心配はないと思うことでしょう。
ところで、国税庁の平成28年度の税務調査実施状況を見ると、全体の申告数約13万件のうち、税務調査の件数は約12,000件です。
約1割ですので少ないと思うかもしれませんが、一度、税務調査が入ると約8割で指摘を受け、また、約1割のケースで重加算税を課されています。
つまり、税務署はあらかじめ怪しい相手をマークしてある程度の確証を得たうえで税務調査に入っています。税務署は、金融機関で個人の口座の残高を調べることができますので、誰がどのくらいの資産を持っているか、すでに把握されている可能性が高いです。
正しく申告・納税していれば税務調査はない場合が多いですが、脱税していれば、税務調査が入る可能性が高いと考えたほうが良いです。
財産隠しはいけませんが、財産隠しは必ずしも自分の意図するところで発生するとは限りません。例えば家族の中に被相続人の財産を持ち逃げしている人がいるかもしれません。
ただ、いくら財産を隠そうとしても隠しきることはほぼ不可能です。たとえ財産を隠された側であるあなた自身で、財産を持ち逃げした人を特定できなくても、税務署は銀行などの金融機関に口座の入出金記録などを照会することができますので、相続の前後で多額の現金が引き出されていれば、ほぼ必ずバレます。
さらに、税務署を甘く見てはいけません。照会されるのは、被相続人の口座だけではなく、怪しい部分があれば、法定相続人の口座やそれ以外の親族の口座までくまなく調査されます。
仮にあなた自身が隠していなくても、税務署が調査して財産隠しが発覚すれば、重加算税や延滞税が発生します。相続税申告すらしていない場合は無申告加算税が課されます。ですから、遺産相続においては財産隠し自体を防止するための対策が必要なのです。
財産隠しを防ぐ方法として次のようなものがあります。
財産隠しが発生する一つの原因として、「そもそも、いくらあったのかわからない」というように、もともとの財産の全容が誰も把握できていないということがあります。
ですから、できれば生前にご自身にどのような財産があるのかを調査確認し、その内容を「財産目録」にまとめておくと良いでしょう。予めどのような財産が存在していたのかが把握できれば、仮に財産を隠されたとしても、そのことがすぐにわかるようになります。
意外に勘違いをされている人が多いのが、銀行口座の凍結です。役所に死亡届を出すと自動的に銀行口座が凍結され、お金が引き出せなくなると思っている人がいますが、それは大きな間違いです。
今の日本では行政と金融機関でそこまでの連携は取れていないため、銀行は銀行で別途ご家族が来店して直接口座凍結の手続きをしなければ、いつまでたっても銀行口座は凍結されません。そのため、悪意がなくとも被相続人のキャッシュカードとパスワードさえわかれば、簡単にATMからお金が引き出せてしまうのです。
そのため、ご家族がお亡くなりになられたら、できる限り早く口座を凍結させましょう。なお、この際に葬式費用を引き出したい場合は、その旨他の法定相続人などに了承をとって引き出すことをおすすめします。
親族間の仲が悪く、自分の死後にいさかいが起きる可能性が高い場合は、予め相続に強い弁護士などと「財産管理契約」を結んで、第三者に管理してもらうことも一つの対策となります。また、それと同時に遺言書によってその弁護士を「遺言執行者」に指定しておくとさらに効果的でしょう。
結論を述べる必要はもはやないかもしれませんが、相続税を脱税して意図的に払わなければ、かなりの確率でばれて、後で追徴課税されることになります。
重加算税は最大40%、さらに延滞税が年間当たり14.6%かかってきますので、本来より多く税金を納めなければならなくなります。
脱税している人に限って「そんなの絶対にバレないから大丈夫だって」などと人にアドバイスしたりしますが、これには何の根拠もありません。単に脱税仲間を増やして、自分が精神的に安心したいだけなのです。
そのような人のアドバイスを信用すると、あとからものすごく後悔することになりますので、税金は節税はしても脱税は絶対にしないようにしましょう。
合法的な節税については、相続税に強い税理士にご相談ください。あなたの要望を承ったうえで、最善の方法を提案していただけるはずです。