借地権にも小規模宅地等の特例を適用できる

宅地

賃借している土地の上に住居などがある場合、相続で問題になるのが借地権のことです。実は、この借地権は相続税のかかる財産になります。しかし、小規模宅地等の特例を使えば、その評価額を低くすることができます。

借地権の評価額の計算方法は通常の土地とは異なります。また、第三者の土地の上だけに住居などがある場合以外に、自己所有の土地と第三者の土地両方の土地にまたがって、住居などの建物が建っていることもよくあります。この場合は、さらに計算が複雑になります。

借地権と小規模宅地等の特例の関係や、借地権の評価額の計算方法について徹底解説します。

1.借地権とは

まずは借地権がどのようなものかを見ていきましょう。借地権とは、他人が所有している土地を借りてその上に建物を建てて居住等する場合に、その土地を借りることができる等の権利のことです。

この借地権は借主保護のための権利で、借主に有利になるようにできています。
他人が所有している土地の上に建つ建物を相続する場合、同時に土地を借りる権利である借地権も相続することになります。

そのため、借地権も価値があるものとして評価額を計算し、他の相続財産に合算して相続税を計算します。期間の定めのない普通の借地権の場合は、以下の計算式でその評価額を計算します。

普通借地権の価額=自用地価額×借地権割合

借地権割合は、その土地がある地域によって一定の割合が定められています。路線価などを使って求めた自用地価額に借地権割合を乗じて借地権の評価額を算出します。路線価

借地権割合は国税庁が発表している路線価に記載されています。(アルファベット記号が借地権割合を示しています。C:70%。詳細は下記【関連】を参照)

 

【関連】土地の評価方法:路線価方式と倍率方式

2.借地権にも小規模宅地等の特例を適用できる根拠となる条文

借地権が相続税の対象になる財産の1つであることを説明しましたが、実はこの借地権にも小規模宅地等の特例を適用することが可能です。
その根拠は、「租税特別措置法第六十九条の四(小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例)」にあります。この中で、小規模宅地等について「土地又は土地の上に存する権利をいう」と定められています。

この「土地の上に存ずる権利」が借地権などのことを指しています。
例えば、借りている土地(第三者所有)300㎡の上に建っている住居を相続した場合、1㎡あたりの自用地評価額400千円、借地権割合80%の場合の借地権の評価額は以下のとおりです。

借地権評価額=400千円×300㎡×借地権割合80%=96,000千円

小規模宅地等の特例を適用することで減額される額は、特定居住用宅地等の場合は80%なので、
96,000千円×80%=76,800千円

小規模宅地等の特例後の借地権評価額=96,000千円-76,800千円=19,200千円

借地権に小規模宅地等の特例を適用すると、その評価額が大幅に減額されることがわかります。

3.借地権と所有権の両方にまたがる敷地の場合はどう計算するの?

上記では、住居などの建物が建っている土地がすべて借りている土地(第三者所有)の場合を例にとりました。
では、一部は自己所有で、一部が第三者所有の借りている土地の場合はどのように計算するのでしょうか。

この場合、土地に優先順位をつけて、自己所有の土地から小規模宅地等の特例を適用することができるのですが、説明のために、まずは優先順位をつけず通常どおりの計算から見ていきましょう。

3-1.土地の優先順位をつけずに計算

通常、一部が自己所有、一部が第三者所有の借りている土地の場合は、その2筆を1つとして評価します。
例えば、それぞれの土地が300㎡ずつ合計600㎡、一体化した1㎡あたりの自用地評価額400千円、借地権割合80%だとすると、評価額は以下のようになります。

自己所有の土地(所有権)の評価額 400千円×300㎡=120,000千円
借地権の評価額          400千円×300㎡×借地権割合80%=96,000千円
合計               120,000千円+96,000千円=216,000千円

では、小規模宅地等の特例の適用を受けた場合の計算ですが、小規模宅地等の特例を適用することで減額される額は、特定居住用宅地等の場合80%です。また、特例を受けることができる限度面積は、330㎡です。
通常、一部が自己所有していて、一部が第三者所有の借りている土地の場合はその2筆を1つとして評価するため、計算は以下のようになります。

減額される額 216,000千円×330㎡/600㎡×80%=95,040千円
小規模宅地等の特例後の所有権・借地権評価額 216,000千円-95,040千円=120,960千円

3-2.有利判定で自己所有の土地から優先的に特例を適用

しかし、実際は上記の計算のとおりにはしません。小規模宅地等の特例の適用を受ける場合は、納税者有利の原則の考えのもと、自己所有の土地の方から優先して減額されることになります(「有利判定」と呼ぶことがあります)。上記と同じ例で計算をすると以下の通りになります。

小規模宅地等の特例 借地権

①まずは自己所有の土地(所有権)から減額していきます。
所有権部分 400千円×300㎡×80%=96,000千円

②次に借地権部分を減額します。特例が受けられる限度面積330㎡のうち、所有権部分で300㎡使っているので、借地権部分は残りの30㎡のみ減額されます。
借地権部分 400千円×借地権割合80%×30㎡×減額割合80%=7,680千円

③減額される金額の合計額を求めます。
減額される額 ①+② 96,000千円+7,680千円=103,680千円

④小規模宅地等の特例後の所有権・借地権評価額を求めます。
216,000千円-103,680千円=112,320千円

自己所有の土地(所有権)から減額したほうが、120,960千円-112,320千円=8,640千円評価額が安くなり、納税者の有利になります。

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