1．府中市の相続税申告の特徴

府中市は東京都のほぼ中央部、30市町村ある多摩地区の西部に位置しています。

国立市、国分寺市、小金井市、調布市、稲城市、多摩市、日野市の7市に囲まれ、南部の市境には多摩川が流れています。

このあたりの市は東京23区のベッドタウンとして機能しており、府中市も市域全体に住宅地が広がっています。

しかし、市内には多くの企業が工場などの拠点を置いていることから、そこにお勤めの方が多く、府中市自体は、都心のベッドタウンというほどではありません。

市内に大企業が多いこと、東京23区へ通勤する人もいること、生活のしやすさから居住地として人気の市であることなどから、相続税申告も多いと予想されます。

それでは今回は、府中市の相続税申告について詳しく解説します。

1-1．府中市の相続税申告状況

府中市を管轄している武蔵府中税務署、東京都、全国における、令和元年の相続税申告状況は次の通りです。

ただし、武蔵府中税務署は府中市以外に、調布市と狛江市も管轄しています。3つの数値は、この3市の平均値ということになります。

東京都の地価は東京23区中心部に近い程、高くなる傾向があります。それに応じて富裕層の居住者も増え、課税割合も高くなります。

府中市、調布市、狛江市では府中市が最も23区から離れていますが、交通の便や居住環境の良さから、地価は狛江市より高くなっています。

府中市のみでの数値は公表されていませんが、この3市の課税割合を予想すると、1位調布市、2位府中市、3位狛江市ではないでしょうか。

1-2．武蔵府中税務署の課税割合は非常に高い

上記の平均値を比較してみると、武蔵府中税務署の数値はすべてにおいて全国以上、東京都とでは納付税額のみ下回る結果となっています。

東京都のこの数値は圧倒的なものであり、全国47都道府県における課税割合ランキングでは、愛知県の13.93%が2位であることから、その高さがお分かりいただけるのではないでしょうか。

武蔵府中税務署の課税割合はその東京都平均を上回っており、相続税課税には十分注意しなければなりません。

2．府中市の特徴

府中市は、面積29.43平方キロメートル、人口約26万人の街です。

自然が多い多摩地区にありますが、田舎ではなく、特に再開発が進んだことでその魅力は加速し、現在では多摩地区の中核都市として人口も増え続けて居ます。

それでは府中市の特徴と、それが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。

2-1．府中市は好アクセスな街

府中市を地図で見ると、都心から少し離れているように感じます。しかし、市内にはJR南部線と武蔵野線、京王線、西武多摩川線の各路線が縦横に走っており、どこへ行くにも不便がありません。

府中駅から新宿駅までは乗り換えせずに30分程度、その他の主要駅にも40分程度で行くことができます。

2-2．府中市に有名な高級住宅街はない

府中市は、都心へのアクセスの良さと程よく自然と触れ合える街並みなどから人気がありますが、一般的なファミリー層が中心です。豪邸が立ち並ぶような高級住宅街はありません。

ただ、宮町や浅間町は富裕層が比較的多いエリアとなっています。

2-3．府中市を拠点としている企業が多い

府中市には大企業の開発施設や工場が多く、工業都市としても発展しており、代表的な有名企業には、ドラッグストアの全国チェーン「サンドラッグ」があります。

これら大企業の、さらに本社で勤務している人たちは高所得である場合が多く、退職金も高額であると考えられることから、相続税課税が発生しやすくなります。

2-4．府中市の地価

府中市の平均地価は、1㎡あたり36万1,307円で、東京都全59位中30位となっており、ちょうど真ん中に位置しています。

中盤と聞くとそんなに高くないのかと思われるかもしれませんが、一戸建ての平均的な坪数である40坪を所有しているとすると、その金額は約4,777万円にもなり、日本の平均年収のサラリーマンでは手が届きにくい金額となっています。ということは、府中市にマイホームを持っている時点で、ある程度高所得といって良いでしょう。

市内で最も地価が高いエリアは府中駅周辺で1㎡あたり60万円、特に先程紹介した宮町は93万円となっており、40坪で1億2,000万円を軽く超えます。高級住宅街ではありませんが、十分に高級なエリアです。

最も地価の低いエリアは西側の国立市近くにある西府で、1㎡あたり25万円となっていますが、40坪で3,400万円近くになるため、決して安くはありません。

府中市は全域において相続税課税に注意が必要であり、特に市の中央部、府中駅周辺に不動産を所有している人は、より厳重な注意が必要になります。

3．府中市の税理士情報

全国には令和4年1月末日時点で80,011人の税理士がおり、その3割にあたる23,809人が東京都にいます。

しかし、この東京都の税理士の9割にあたる約21,500人は、東京23区に集中しています。

残りの1割を広い多摩地区で分け合っている状況であり、府中市、調布市、狛江市を管轄している東京税理士会武蔵府中支部の税理士数は300人弱、そのうち府中市に約120人がいます。

武蔵府中税務署の令和元年における相続税申告数が1,140件であったことから、税理士1人当たりの申告数は0.26件となり、税理士1人頭年間4件の相続税申告をしている計算になります。

相続税申告は、税理士1人あたり年間1件依頼があるかないかといわれていることから、東京都の相続税申告の多さと、それによる税理士不足の状況が分かります。

3-1．府中市の税理士探しは23区を中心に

相続税は税理士の実力差が大きく出る税金であり、相続税に強い税理士と弱い税理士では納税額に数百万円の差ができることもあります。

府中市内には120人の税理士がいますが、この中に相続税に強い税理士が何人いるでしょうか。

府中市の税理士に依頼したい場合には、生前のできるだけ早いうちから税理士探しを行って、相続税に強い税理士を確保しておきましょう。実力のある税理士程、人気が高いため早いうちから予約が埋まってしまいます。とにかく先手必勝です。

地元税理士にこだわりがない場合には、府中市の優れた交通網を生かして、東京23区内での税理士探しをおすすめします。

23区には東京都の税理士の9割が集まっており、その分、相続税に強い税理士の数も比例します。

さらに、府中市よりも複雑な相続税申告が行われることが多いため、相続税に強い税理士の中でも、さらに相続税に強い税理士がいるでしょう。

【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、東京税理士会公式サイト、東京税理士会武蔵府中支部

【参考】府中市内の相続関連機関一覧

府中市内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました（2018年4月現在）。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。