相続診断士とは?相続診断士試験の概要、役割と今後のニーズ

資格

相続診断士とは

相続問題に関しては、一般の人は、民法や相続税法などの正しい知識がなく、生前の準備を充分に行わないケースが多く見られます。そのため、被相続人の死後、相続人どうしで揉めたり、相続税の負担で苦労する可能性があります。

相続問題では、「弁護士」「税理士」「司法書士」などの専門家が関わることが多いです。ただ、相続に詳しく、顧客に本当に親切な専門家に出会うのは、なかなか難しいといえます。

相続診断士は、相続問題で重要となる民法や相続税法などの基本的な法律を正しく理解し、また、正しい遺言書の書き方やエンディングノートの書き方などの周辺知識をはじめとして、多岐にわたる知識を習得しています。
そのうえで、顧客が正しく相続と向き合えるように、相続の適切な診断を行います。

また、相続に関する多岐にわたる問題を理解し、一般の方への啓蒙活動や指導も行っています。
さらに、相続診断士は相続問題を抱えている人たちに、親切で相続に詳しい専門家をつなぐ道先案内人としての役割も担っています。税理士、司法書士、行政書士・弁護士などの専門家と一緒に問題を解決し、顧客が争うことなく円満に笑顔で相続できることを目指しています。

相続診断士試験の概要

相続診断士試験は一般社団法人相続診断協会が実施している試験です。一般社団法人相続診断協会は税理士、司法書士、行政書士が6人の専門家集団が理事と監事になっている協会です。

受験資格はないので誰でも受験ができます。試験形式ですが、J-Testingという方式をとっています。
J-Testing(ジェイテスティング)は、資格試験や検定試験の申込から受験が行える「総合試験運営サービス」です。
スマートフォンやタブレット、パソコンから簡単に資格試験や検定試験に申し込むことができ、ご要望に応じた日時、全国47都道府県にある会場にていつでも試験を受けることができます。

【参照】J-Testing
http://j-testing.jp/cbt/about_jtesting.html

試験時間は60分ですが、コンピューターによる択一形式で問題数は合計で60問となっており、合格基準は70点となっています。
試験内容は以下のとおりです。

カテゴリー毎の出題数
・コンプライアンス 10問(20点)
・民法相続編 15問(15点)
・相続税 15問(20点)
・相続税穴埋め 12問(24点)
・法定相続分 3問(9点)
・基礎控除 2問(6点)
・小規模宅地 3問(6点)

相続税だけでなく、相続に関する周辺知識も出題されています。過去の試験問題もサイトに掲載されており、無料で体験版も用意されているので、体験してみるとよいでしょう。

また、試験の申し込みは個人受験と団体受験があります。受験料は、個人受験が37,800円、団体受験が32,400円となっています。料金が高めになっているのは、教材費が含まれているためです。
試験申し込みを行うと、支払が確認された後、相続診断士テキストと相続診断士テキストを分かりやすく解説したDVD(講義DVD約6時間)が送付されてきます。

合格認定日は、試験日の翌々月1日で、合格後は試験日の翌々月10日前後に認定証一式(認定証・認定証カード)が送付されてきます。
当資格の年会費はありませんが、資格有効期間は2年間で、2年毎に更新手続きが必要です。資格更新時には、更新用確認テスト合格と更新料16,200円(税込)支払の手続きが必要となります。

【参照】一般社団法人 相続診断協会:資格試験について
https://souzokushindan.com/abouttest.html

相続診断士の役割と今後のニーズ

相続税の基礎控除の額が平成27年から引き下がり、相続税対象の人が増えたといわれていますが、相続税対象者の訴訟割合は実は非常に低いです。その代り、相続税の対象でない人の紛争割合は7割以上にもなっています。

相続税の対象でない人は相続税を負担する必要がないため、税理士が入ることはほとんどありませんが、第三者が間に入らず相続人だけで遺産分割を進めていると、いざこざが起きやすいのかもしれません。現在、家庭裁判所での相続関連の相談は10年前から2倍にもなっている状況です。相続はお金持ちだけの問題ではなく、一般の家庭でも必要となる時代となってきています。

相続診断士は、相続の知識のない相続関係者からヒアリングし、現状分析を行います。そして、顧客と専門家である税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士等の有資格者との間に立ち、相続に関するあらゆる問題を解決していきます。相続診断士は相続の道先案内であり、これからの社会に求められる資格であるといえます。

身近な資格

相続に関する資格は平成26年からスタートした相続アドバイザーが注目を浴びていますが、試験日が決められており、3月と10月の年2回となっています。

一方、相続診断士はJ-Testingという方式をとっており、誰でも日時に関係なく自分の都合で受験でき、受けやすいのが特徴です。また、相続診断士の資格の活かし方のセミナーも行っており、資格取得後のフォローも行っています。相続という誰もがいつかは関わる内容であるため、身近な資格ともいえます。
今、15億円の遺産を相続して話題となっている芸人の前田けゑも相続診断士をとっており、注目したい資格です。

監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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