相続関連の資格を比較!特徴・難易度・お役立ち度

外部の専門家

将来的に相続や事業承継に関する仕事に就きたいと考える人もいることでしょう。現在では、相続や事業承継に関連する資格は数多くありますが、多すぎるがゆえにどの資格を取得すれば良いのか分からないこともあるかもしれません。

そこで、いくつかの相続関連の資格を比較し、相続や事業承継に役立つ資格を紹介します。

相続・事業承継を扱う国家資格

資格は大きく2つに分類して、国家資格民間資格があります。

国家資格を保有すると、法律で義務付けられた独占業務に携わることができます(一部の資格には独占業務はありません)。就職・転職、独立するにも有利なため、相続・事業承継の第一線で活躍できるようになるでしょう。

一方で、資格取得の難易度は高く、勉強時間も多く取られます。しっかりとした試験対策が必要になります。

税理士

相続業務における「相続税」の全般を扱うことができる資格が「税理士」です。相続税の計算から、申告書の作成、税務署対応などを行います。相続税に関する具体的な相談や相続税の申告書の作成は税理士の独占業務であり、税理士しか行うことができません。また、事業承継の際にも税金面を中心にアドバイスを行えるでしょう。

難易度は国家資格の中でも相当難しく、資格取得まで5年~10年を要することも珍しくありません。ただし、税理士資格を取得できれば、相続税の申告者の役に立てるのは間違いありません。

弁護士(司法試験)

相続業務における「遺産分割」で顧客の法律相談や弁護をすることができる資格が「弁護士(司法試験)」です。遺産分割時に法律相談にのったり他の相続人と交渉ができます。争いが生じ調停・訴訟に発展した場合には、依頼者の代理人となり進めることができます。

法律相談や依頼者の法律行為の代行ができるのは弁護士の独占業務であり、弁護士しか行うことができません。事業承継においても、依頼者を代行して各種の手続きを進めることができます。

国家資格の中でも最も難しい試験の1つに分類されています。司法試験を受験するためには、法科大学院を修了するか予備試験に合格する必要がありますが、5年以内という受験資格の期限があり合格できない人もいます。難関ですが司法試験に合格すれば、相続問題の際に相続人の役に立つことができます。

司法書士

相続業務における「名義変更」などの法的手続きを専門的に進められる資格が「司法書士」です。相続登記に関して法務局に提出する資料等を作成・申請できます。

相続登記は法的には弁護士も可能ですが、実際の業務の専門性という意味では、実質、司法書士の独占業務になっています。また、遺産分割時に、裁判所に対して調停・審判の申立書の作成ができます。司法書士試験は難しい資格として知られており、毎年の合格者は3%前後と言われています。

不動産鑑定士

相続業務における「不動産価値の評価」を扱うことができる資格が「不動産鑑定士」です。相続財産の資産価値を、法律に従って正しく評価します。不動産鑑定は不動産鑑定士の独占業務です。相続時に目立って活躍することはありませんが、不動産の評価を正しく鑑定するという点で必要とされる仕事です。
難しい試験の1つとして知られており、最終的な合格者は毎年100名程度と少ないです。主に不動産関係の仕事に従事する人が取得しています。

中小企業診断士

事業承継業務における「会社経営」の専門的な指導ができる資格が「中小企業診断士」です。中小企業診断士は独占業務ではありませんが、経営コンサルタントの唯一の資格であり、会社経営に関して適切なアドバイスができます。

試験範囲が非常に広く、資格取得は難しいことが特徴です。

ファイナンシャルプランニング技能試験(FP)

相続業務における「相続」の一般的なアドバイスができる資格が「ファイナンシャルプランニング技能試験(FP)」です。FPは独占業務ではなく、個別具体的なアドバイスはできませんが、相続に関する一般的な回答が行えます。1級~3級まで用意されており、勉強次第で誰でも取得も可能です。相続だけでなく、年金・資産運用・保険・不動産運営を含めた総合的な観点からアドバイスができるでしょう。

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相続・事業承継を扱う民間資格

民間企業が実施している相続・事業承継に関する資格が「民間資格」です。一般的に知名度が低かったり、独占業務に従事できなかったりすることもあります。
しかし、中には特定の業界で重宝される民間資格もあり、それが就職、独立に役立つこともあります。

相続士

相続業務における「相続全般」の的確なアドバイスを行うことができる資格が「相続士」です。税理士や司法書士などの専門家とネットワークを組み、相続人の悩みを解決していきます。資格の難易度は非常に優しいとされており、将来的に役立つ可能性が注目されている資格です。

相続診断士

相続業務における「窓口」的な役割を行える資格が「相続診断士」です。相続に関する正しい知識を身に付け、一般の人へ啓蒙することを目的としています。難易度はやや高いですが、勉強すれば取得できる可能性は十分あります。保険会社関係で取得を目指す人が増えている資格です。

遺言執行士

相続業務における「遺言」の全般的なアドバイスと執行を行う資格が「遺言執行士」です。遺言書の作成を指導したり、遺言執行者となったりします。平成26年11月1日~平成28年3月31日までに100名程度の受験者しかいないマイナーな資格ですが、今後、需要が伸びるかもしれません。

事業承継士

事象承継業務における「事業承継全般」のエキスパートとして役立つ資格が「事業承継士」です。事業承継に関する専門的な知識の検証を図れる資格です。受講料が30万円と高額なため、積極的に取得する必要はないかもしれません。事業承継に興味がある人が取得を試みるといいでしょう。

相続カウンセラー

相続業務における「相続全般」のカウンセリングを行う資格が「相続カウンセラー」です。相続人の悩みをくみ取り、税理士や司法書士などの専門家に橋渡しをします。難易度は3段階に分かれており、講習を受ければ合格は難しくありません。独占業を営む人が、相続分野に手を出す際に保有していると良いかもしれません。

終活カウンセラー

相続業務における「終活」のアドバイスを行う資格が「終活カウンセラー」です。相続だけでなく遺言や保険、介護、墓などのトータルアドバイスを実施します。メディアでも紹介されており、注目が集まりつつある資格と言えるでしょう。

相続アドバイザー

相続業務における「銀行業務」の的確なアドバイスを行える資格が「相続アドバイザー」です。相続一般の内容に加えて、相続時の預金引出しなど銀行業務に特化した内容をアドバイスできるようになります。今までは3級しかなく易しい試験でしたが、2017年からは2級が新設され、やや難しくなります。金融機関関連で取得する人が増えています。

事業承継アドバイザー

事業承継業務における「金融」の的確なアドバイスを行える資格が「事業承継アドバイザー」です。事業承継の一般的な内容に加えて、株式買い取り資金の融資など金融のプロの面からアドバイスできるようになります。2016年から新設される試験で、難易度は比較的易しいと思われます。

間企業

不動産会社

日本では不動産が大きな財産ですし、相続税の節税対策としても不動産を利用した方法が有効ですので、不動産を売買する際に関わってきます。最近では節税対策として、お客様の財産設計に積極的に関与している会社も多いです。

銀行

言わずとしれたお金のプロフェッショナル団体であり、お金を預けたり貸してくれたりするところです。相続に関しては、総合コンサル的な役割を果たしてくれます。代償分割が必要な場合にはそのための資金を貸してくれたりします。
ただ、銀行は多額の財産を持つ顧客を相手にしていることが多いですので、個人が相談してもらうのはやや敷居が高いかもしれません。

保険会社

生命保険など各種保険契約をします。相続税の対策として生命保険を契約する際に関わってきます。最近では節税対策として、お客様の財産設計に積極的に関与している会社も多いです。

相続関連資格のまとめ

相続・事業承継を扱う資格には、国家資格・民間資格それぞれ多種多様なものがあります。独占業務として働くのであれば国家資格の方が大いに役立ちますし、本業にプラスアルファとして取得するなら民間資格でも役立つものもあるでしょう。どちらが優れているというものではなく、目的に合わせて資格取得をすることが大切です。

資格取得は仕事の入り口でしかありません。資格を取得することと、業務をこなせることは、別の問題です。相続業務において顧客の役に立つためには、日々の勉強を重ね、研鑽することが大事だというのは言うまでもありません。

監修
税理士相談Cafe編集部
税理士ライター、起業経験のあるFP(ファイナンシャル・プランナー)、行政書士資格者を中心メンバーとして、今までに、相続税や相続周りに関する記事を500近く作成(2023年4月時点)。
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