夫婦間の贈与で贈与税がかかる場合/かからない場合の具体例

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夫婦間の贈与で贈与税がかかる場合/かからない場合の具体例

贈与とは贈与者から受贈者に対してお金や動産、不動産などを無償であげることを言います。そして、一定金額以上の贈与に対しては贈与税がかかります。もしこの当事者が夫婦であったら、贈与税はどうなるのでしょうか?

贈与税がかかる場合とかからない場合について具体例をあげながら解説します。

1.夫婦の定義

夫婦間の贈与について述べる前に、夫婦とはどのようなものかを確認しておく必要があります。夫婦には大きく「婚姻関係にあるもの」と、「内縁関係にあるもの」の2つがあります。

(1)婚姻関係にあるもの

婚姻関係とは形式的には婚姻届けの提出によって成り立つ夫婦関係のことを言います。婚姻届けを役所に提出、受理されれば夫婦となり、法律によって相互扶助などが求められます。

(2)内縁関係にあるもの

内縁関係とは婚姻届けの提出を伴わない夫婦関係のことを言います。こちらは夫婦の内縁の意思によって成り立つ関係です。婚姻届けの提出を伴わないだけであり、実態的には夫婦の関係にありますので、法律上は夫婦同様に扱われるケースが多いです。

2.夫婦間で贈与税がかからない場合

(1)生活費、教育費など通常必要なもの

夫婦間で贈与税がかからない場合として、「扶養義務者相互間において通常認められる生活費・教育費のための贈与」が当てはまります。

扶養義務者には例えば贈与者の配偶者、直系血族・兄弟姉妹などが当てはまります。生活費とは日常生活を営むのに必要な費用を指します。また、教育費は被扶養者の学費や教材費などです。

婚姻関係でも、内縁関係でも、夫婦間には「扶養義務」が生じていますので、「夫婦間の生活費」に該当するものであれば、贈与税は発生しません。なお、「通常必要と認められる」とは扶養者・被扶養者の資力などを考慮して、社会通念上適当と判断される範囲を言います。

【出典】国税庁:No.4405 贈与税がかからない場合

(A)高級な家具の購入のために妻に現金を渡した

妻に現金200万円を渡し、妻がそのお金を使って高級な家具を購入したとします。この家具は家族の生活に利用するものですから、贈与税はかかりません。

(B)夫の学費のために夫の口座に振込

まだ博士課程の学生で研究をしている夫の学費のために、夫の口座に300万円を振り込んだケースでは、夫が大学の学費に充てるものですので、贈与税はかかりません。

(C)買い物用の車を妻に購入

買い物用の車として150万円を夫が支払い妻の名義で自動車を購入しました。この車は生活に必要なものですので、贈与税はかかりません。ただし、派手なスポーツカーなど生活用ではなく明らかに嗜好品としてみなされるものであれば贈与税がかかる可能性はあります。

(D)セレブの結婚祝儀として200万円の時計を贈呈

お祝いやお見舞い用の贈答品や金銭などは、「社会通念上相当と認められるもの」であれば贈与税は課税されません。「社会通念上相当」についてですが、世間一般の平均で評価するのではなく、文化・風土・地域・慣習・生活レベルなど幅広い概念を考慮したうえで決定されます。年収1億円クラスのセレブたちが互いに数百万円の贈り物をすることが日常的に行われているとしたら、200万円の時計も「社会通念上相当」の範囲内です。

(2)110万円以下の贈与の場合

贈与税には110万円という基礎控除額がありますので、贈与した金額が年間110万円以下なら贈与税はかかりません
これをうまく利用すれば、生活費とは全く関係ないお金であっても毎年100万円くらいは無税で配偶者にお金を渡すことができます。

(3)不動産贈与の特例を利用する場合

不動産の所有権の一部を譲渡したら、贈与税の課税対象になります。ただし、婚姻期間20年以上の夫婦間であれば特例を活用すると、2,000万円まで非課税となります。この特例(配偶者控除)については別途詳しく解説します。

3.夫婦間で贈与税がかかる場合

生活費・教育費でないものや110万超の夫婦間の贈与に対しては贈与税がかかります。

(A)生活費としてもらったお金を株に投資

夫から生活費として毎月30万円程度もらっていましたが、うまく節約したら毎月10万円、年間で120万円ほど貯金できたので、それを株式投資に回しました。この場合、生活費からは外れますので、贈与税がかかります。

配偶者からもらったお金から、へそくりをためている人はご注意ください。また、余談ですが、相続税の税務調査では、生活費目的でありながら余ってしまったお金は相続財産と判定されることが多いです。もともと被相続人の財産であり特に配偶者にあげる意図はなかったからです。何かとトラブルの多いへそくりです。

(B)金融機関の破たん対策で口座移動

昨年、夫が会社を退職して、退職金を2000万円があります。

仮に銀行などの金融機関が破たんした場合、元本1,000万円+利息分は保証されますが、それを超える預金は戻ってこない可能性があります。

そこで対策として、妻の口座に貯金1,000万円を預金移動しました。

この場合、その妻の口座を実質誰が管理しているかが問題となります。もし、妻が管理しておりいつでも自分で自由に引き出せる状態であれば、1,000万円の退職金の贈与とみなされて贈与税が発生するでしょう。逆に、印鑑・通帳とも夫が管理している、いわゆる名義預金であれば贈与税は課税されない可能性はあります。

相続税の計算の際には、名義預金は相続財産として扱われるのですが、贈与に関しては絶対に課税されないという保証はありませんので、心配な方は最寄りの税務署にご相談ください。

(C)住宅の名義変更を行なった際

相続が近くなると、夫から妻へ住宅の名義変更を検討するケースがあります。マンション・住宅の生前贈与は、よく検討されます。しかし、例えば、夫が4000万円で夫名義でマンションを住宅購入し、相続前に妻にマンションの名義変更を行うと、単純に4000万円の夫から妻への贈与と考えられ、贈与税が発生します

(D)夫名義の住宅ローンを妻が返済している

夫の名義で住宅を購入し月返済額15万円の住宅ローンを組みましたが、夫がリストラで収入がなくなってしまったので、代わりに妻が全額返済しています。この場合、年間180万円のローン返済分のお金を妻から夫に贈与したことになり、贈与税がかかります。

(E)夫婦の共有名義で不動産を登記

住宅を購入し全額夫が支払いましたが、登記上は夫婦の1:1の共有名義としました。このケースでは、夫が妻に購入額の半分を贈与したとされ贈与税がかかります。

4.夫婦間の共有名義不動産

マイホームを取得したら必ず「登記」手続きが必要になります。夫婦で不動産を購入したとき登記の方法として、「単独名義」と「共有名義」が考えられます。この名義方法次第で贈与税の課税が発生する場合もあるので注意が必要です。

共有名義

共有名義とはその字のとおり「名義を共有する」ことを言います。名義の共有として多いケースが、夫婦間や親子間でしょう。対象となる不動産が、名義人たちの共有の持ち物として扱われます。

持分割合

共有財産を考えるうえで重要なのが持分割合です。これは対象となる不動産に対して、自分がどの程度の所有権を有するかを表すものです。例えば「1:1(夫の割合が1に対して、妻の割合も1であること)」などの形で表されます。

共有名義と贈与税の問題

不動産を共有名義にする場合は、持分割合を正しく設定する必要があります。なぜなら、この持分割合が事実と異なれば「贈与」とみなされることもあるからです。

持分割合は基本的に当事者の出資金額によって決まります。例えば3,000万円の物件で、夫が1,500万円、妻も1,500万円であれば、割合は「1:1」です。当然、持分割合も「1:1」であれば問題はありません。

けれども、3,000万円の物件で夫が2,000万円、妻が1,000万円出資したとします。この場合に持分割合を「1:1」として登記すると、実際とは異なる権利を有することになります。その結果、夫から妻が500万円分の所有権を贈与したと判断され、課税対象になってしまうのです。なお、支払いは頭金だけでなく、住宅ローンの支払い割合なども関係するので注意が必要です。

5.夫婦間で不動産贈与の特例

(1)居住用不動産の配偶者控除

不動産贈与の特例として「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除」というものがあります。これは婚姻期間が20年以上の夫婦間において、居住用不動産(もしくは取得すための金銭)の贈与が行われた際に、最高で2,000万円まで控除できる制度です。

特例を受けるための4つの要件

この特例を受けるためには以下の4つの要件を満たす必要があります。

  • (1)夫婦の婚姻期間が20年以上を過ぎていること
  • (2)贈与財産が配偶者のための国内居住用不動産または、居住用不動産を取得するための金銭であること
  • (3)受贈の年の翌年3月15日までに受贈者が居住し、その後も住み続ける見込みがあること
  • (4)同配偶者による本制度の利用が初めてであること

同じ夫婦間では一度しか特例を利用できませんが、離婚して別の配偶者と再婚し20年以上経過したらまた利用可能です。

贈与の年に贈与者が死亡した場合の配偶者控除の適用

被相続人から相続や遺贈によって財産を取得した人が、相続開始の年に被相続人から財産の贈与を受けていた場合には、その贈与を受けた財産については相続税の課税価格に加算されるため贈与税はかかりません。

外部サイト(国税庁)

特例を受けるための手続き方法

本特例を受けるためには贈与税の申告時に下記の書類も添付しなければなりません。

(1)受贈日から10日を経過した日にち以降に作成された戸籍謄本または抄本
(2)受贈日から10日を経過した日にち以降に作成された戸籍の附票の写し
(3)居住用不動産の登記事項証明書など居住用不動産を取得したことを証する資料
(4)居住用不動産を受贈した場合は、固定資産評価証明書など不動産を評価する資料
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