生命保険の受け取りでかかる税金

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 生命保険は、税金と密接な関係があります。例えば、生命保険料控除はその代表的なものです。また、生命保険は相続対策にもしばしば利用されます。生命保険料や死亡保険金、満期保険金に関わる税金について、詳しく解説します。

1.生命保険料を支払ったとき

1-1.生命保険料控除とは

生命保険に加入すると、契約者(=保険料負担者)は保険会社に保険料を支払います。この支払った保険料は「生命保険料控除」という所得控除の対象となります。会社員の方であれば、毎年の年末調整のときに会社に、「給与所得者の保険料控除等申告書」に「生命保険料控除証明書」を添付して提出(保険料を給与天引きしていれば不要)しているのでお馴染みでしょう。

その年に支払った保険料のうち一定金額がその人の所得から控除されるため、所得税や住民税が減ります。なお、「所得控除」であって「税額控除」ではないことに注意しましょう。つまり、控除額=税金がまるまる減る分、ではありません。

1-2.生命保険料控除の概要

では、生命保険料控除の仕組みはどうなっているのでしょう。まず。新旧の両制度から見てみましょう。
生命保険料控除には、2012年(平成24年)1月1日以降に結んだ契約に適用される制度(新制度とよびます)と、2011年(平成23年)12月31日以前に結んだ契約に適用される制度(旧制度とよびます)の2つがあります。

旧制度の一般生命保険料控除は、新制度では次の2つに分けられました。

一般生命保険料控除生存または死亡に起因して
保険金や給付金が支払われる部分の保険料
介護医療保険料控除入院や通院に起因して
給付金が支払われる部分の保険料

また、旧制度の個人年金保険料控除は、新制度でも

(新)個人年金保険料控除個人年金保険料税制適格特約が
付加された個人年金保険契約等の保険料

として存続しています。つまり、新制度は①②③の3種類で構成されています。

1-3.新制度の控除額

新制度、旧制度とも、所得税および住民税の控除額は年間払込保険料の額によって変わってきます。
新制度における①一般生命保険料控除、②介護医療保険料控除、③個人年金保険料控除(税制適格特約が付加されている場合)の控除額は、いずれの場合でもそれぞれ、次のようになります。

【所得税の控除額】

年間払込保険料控除額
2万円以下払込保険料全額
2万円超4万円以下(払込保険料全額×1/2)+1万円
4万円超8万円以下(払込保険料全額×1/4)+2万円
8万円超一律4万円

【住民税の控除額】

年間払込保険料控除額
1.2万円以下払込保険料全額
1.2万円超3.2万円以下(払込保険料全額×1/2)+6,000円
3.2万円超5.6万円以下(払込保険料全額×1/4)+14,000円
5.6万円超一律2.8万円

1-4.旧制度の控除額

旧制度における①一般生命保険料控除、②個人年金保険料控除(税制適格特約が付加されている場合)の控除額は、いずれの場合でもそれぞれ、次のようになります。

【所得税の控除額】

年間払込保険料控除額
2.5万円以下払込保険料全額
2.5万円超5万円以下(払込保険料全額×1/2)+12,500円
5万円超10万円以下(払込保険料全額×1/4)+25,000円
10万円超一律5万円

【住民税の控除額】

年間払込保険料控除額
1.5万円以下払込保険料全額
1.5万円超4万円以下(払込保険料全額×1/2)+7,500円
4万円超7万円以下(払込保険料全額×1/4)+17,500円
7万円超一律3.5万円

1-5.新旧どちらか片方で、複数の制度を併用する場合

例えば、「今年、定期保険にも医療保険にも個人年金保険(税制適格特約が付加されているもの)にも加入した」などという人もいるかもしれません。
この場合、新制度の①②③を併用することになりますが、合計の適用限度額は所得税では12万円、住民税では7万円となります。所得税が4万円×3=12万円が上限となっているのに対し、住民税の上限は2.8万円×3=8.4万円とはならないことにご注意ください。

なお、旧制度で一般生命保険料控除と個人年金保険料控除を併用した場合の合計の適用限度額は所得税では10万円、住民税では7万円となります。

1-6.新旧両制度を併用する場合

2011年(平成23年)12月31日以前に契約した保険と、2012年(平成24年)1月1日以降に契約した保険がある場合、新旧両制度を併用することになります。この場合の合計の適用限度額は、所得税12万円、住民税7万円です。これは、新制度の合計の適用限度額と同じです。

1-7.注意点

生命保険料控除の主な注意点は、以下のとおりです。

  • その年の1月1日から12月31日までに払い込んだ保険料が対象になります。
  • どの控除の対象になるかは、その保険の保障内容によります。例えば、「介護」や「医療」が商品名に入っていても、介護医療保険料控除ではなく一般生命保険料控除の対象になる場合があります。・旧制度の対象契約でも、2012年1月1日以降に更新や転換、特約の中途付加などを行うと、以降の保険料は新制度の対象となります。
  • 個人年金保険料控除の対象となる税制適格特約を付加するためには、所定の要件を満たす必要があります。例えば、保険料の払込期間は10年以上である必要があり、一時払いは認めらません。
  • 会社員の方が年末調整での生命保険料控除を忘れてしまった場合は、確定申告で行うことができます。確定申告も忘れてしまった場合は、5年以内であれば還付金請求ができます。

生命保険料控除

2.死亡保険金を受け取ったとき

今度は、給付にかかる税金を見てみましょう。死亡保険金を受け取ったときの税金は、加入形態により3つに分かれます。それぞれ見てみましょう。

2-1.相続税がかかる場合

保険契約者(=保険料負担者)と被保険者が同じ場合、相続税の課税対象となります。死亡保険金はみなし相続財産として遺産総額に含められますが、保険金受取人が法定相続人の場合は「死亡保険金の非課税」が適用されます。この非課税金額は、500万円×法定相続人の人数となります。

相続放棄があった場合でも、放棄した人も非課税金額を計算するための法定相続人数に含めることができますが、相続放棄をした本人が受け取った死亡保険金額にはこの非課税金額は適用できません。

2-2.所得税・住民税がかかる場合

保険契約者(=保険料負担者)と保険金受取人が同じ場合、所得税の課税対象となります。一時所得として他の所得と合算されて総合課税されます。一時所得の課税対象額は、次の計算式で算出されます。

一時所得の金額 = 総収入金額 - その収入を得るために支出した金額 - 50万円(特別控除額)
一時所得として課税される金額 = 一時所得の金額×1/2

またこの場合、住民税の課税対象にもなります。

2-3.贈与税がかかる場合

保険契約者(=保険料負担者)と被保険者と保険金受取人がそれぞれ異なる場合、贈与税の課税対象となります。贈与税の課税対象額は、死亡保険金から基礎控除額(年間110万円)を差し引き、贈与税の税率を乗じることにより求められます。

なお、直系尊属(祖父母や父母など)から20歳以上の子や孫などへの贈与は「特例贈与」、それ以外の贈与は「一般贈与」となります。特例贈与と一般贈与では、基礎控除後の課税価格ごとの税率と控除金額が異なります。

【関連】生命保険と相続

3.満期保険金、解約返戻金を受け取ったとき

3-1.一般的なケース

養老保険のように満期がある保険の場合には、満期時には満期保険金を受け取ります。また、解約返戻金があるタイプの保険を中途解約した場合は、解約返戻金を受け取ります。
これらの場合、満期保険金や解約返戻金には所得税・住民税あるいは贈与税がかかりますが、それぞれの計算方法は前述の「2-2.所得税・住民税がかかる場合」「2-3.贈与税がかかる場合」と同じです。

3-2.金融類似商品として扱われるケース

例外的なケースとして、主に貯蓄性、収益性の高い保険の場合、金融類似商品とみなされ上記「3-1.一般的なケース」の課税関係とはならない場合があります。例えば、5年満期の一時払養老保険の満期保険金を受け取った場合は、受け取り時に満期保険金と払込保険料合計額の差額に対して20.315%(所得税15.315%(復興特別所得税含む)、住民税5%)が源泉徴収され、課税は終了します。他に例えば10年満期の一時払養老保険を5年以内に解約し、解約返戻金を受け取った場合なども同じ課税になります。

なお、金融類似商品とみなされるのは、

  1. 保険期間
  2. 保険料の払込方法
  3. 保障倍率

の3つについて所定の要件を満たす場合に限られますが、要件の詳細はここでは割愛します。

4.個人年金を受け取ったとき

個人年金を受け取ったときの課税関係は、実は意外と複雑です。ケース別に見てみましょう。

4-1.所得税・住民税がかかる場合

保険契約者(=保険料負担者)、被保険者、保険金受取人が同じ場合、雑所得として所得税の課税対象となります。雑所得の課税対象額は、次の計算式で算出されます。またこの場合、住民税の課税対象にもなります。

雑所得の金額 = 総収入金額(今年の年金額) - 必要経費(払込保険料のうち今年の年金額に対応する金額)

4-2.贈与税がかかる場合

例えば、保険契約者(=保険料負担者)が夫、被保険者と保険金受取人が妻という場合、年金開始時点での年金受給権の権利評価額が贈与税の課税対象となります。なお2年目以降の毎年受け取る年金は、「4-1.所得税・住民税がかかる場合」のとおり雑所得として所得税、住民税が課税されます。(相続税や贈与税の課税対象となった部分は、所得税・住民税の課税対象にはなりません)

年金受給額の権利の評価額は、次の3つのうちもっとも高い金額です。

  • 解約返戻金の金額
  • 年金に代えて一時金として受け取ることができる場合は一時金の金額
  • 予定利率(保険料算出時に用いられる基礎率の一つ)等をもとに算出した金額

なお、年金受取開始後に被保険者が死亡した場合は、保険契約者(=保険料負担者)・被保険者・年金受取人の組み合わせと受取方法(一括受取か年金受取か)により税金の種類が変わってきますが、かなり細かくなりますので、ここでは割愛します。

5.相続での生命保険に関する権利の評価

相続開始時に、被相続人が契約者(=保険料負担者)で被相続人以外の人が被保険者の保険契約の場合は、相続によって契約を引き継いだ人が「生命保険契約に関する権利」を取得したものとして、相続税が課税されます。そしてこの生命保険契約に関する権利の評価は、解約返戻金額となります。

医療

6.非課税となる保険金・給付金

では、生命保険からの給付は全て何らかの課税がされるのでしょうか。いえ、生命保険の趣旨を考えれば当たり前かもしれませんが、非課税給付も多くあります。主な非課税給付を紹介します。

  • 手術給付金
  • 入院給付金、通院給付金、退院給付金
  • 障害保険金(給付金)
  • 特定損傷給付金
  • がん診断給付金、特定疾病(3大疾病など)保険金
  • 先進医療給付金
  • 高度障害保険金(給付金)
  • リビング・ニーズ特約保険金
  • 介護保険金(一時金、年金)

なお、被保険者が生前に受け取った保険金などを使い残したまま死亡した場合、この残った保険金は相続財産として相続税の課税対象となります。また、こども保険(学資保険)の祝金、満期保険金は非課税とはならず、一時所得として所得税の課税対象となります。

まとめ

生命保険に関する税金は難しそうに見えますが、見てきたように、体系的に整理すればさほど難しくありません。生命保険は大事な資産の一つですし、その課税関係を知ることは、いざというときととても役に立ちます。個人に関わる生命保険の税金について正しく理解し、ライフプランを豊かなものにしましょう。

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