その生命保険、本当に受け取れますか?受取人が認知症になる前の対策

★ お気に入りに追加
ストップ

 相続税対策のために生命保険に加入するケースが増えていますが、生命保険には次のようなメリットがあります。

  • 生命保険は遺産分割の対象にはなりませんので、指定した受取人が確実に受け取れます。
  • 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、相続財産額を減らすことができます。
  • 被相続人の死亡後、請求すれば短期間で支払われますので、葬式費用や納税資金に充てられます。

このようにメリットが多いように見える生命保険ですが、実は一つ大きな落とし穴があります。
それは「受取人が認知症になる」ことです。受取人が認知症になってしまったら、すぐに保険金を受け取れず、仮に受け取ったとしても、もはや自由に使うことはできません。

生命保険はただ加入するだけでなく、被保険者がいつ亡くなっても確実に保険金を受け取って活用できるように備えておく必要があるのです。そのための対処方法について解説します。

1.生命保険の仕組み

まず生命保険の仕組みを簡単に解説しておきます。生命保険契約では三者が登場しますので、それぞれの違いを理解しておくことが大事です。

契約者とは「生命保険契約をする人」

生命保険会社と契約をする人のことをいいます。通常、契約者支払者であり毎月の生命保険料を保険会社に支払います。なお、契約の時点では被保険者と保険金受取人を選ぶことができます。

被保険者とは「生命保険を掛けられる人」

生命保険の補償を受けている人のことを言い、将来、被相続人となる予定の人が被保険者となります。被保険者は契約者と同一人物であるケースも、別人であるケースもあります。これは契約内容によって異なります。

保険金受取人とは「保険金を受け取れる人」

保険人受取人とは、被保険者に万が一のことがあった場合に、保険金を受け取れる人のことです。なお、保険金を受け取るには、受取人が生命保険会社に請求しなければなりません。保険金請求をせずにいると時効を迎え、生命保険金を受け取ることができなくなります。

2.保険金の受取手続きと認知症の問題性

生命保険金の受取手順について

被保険者が亡くなった場合には、保険金受取人は生命保険会社から生命保険金(死亡保険金)を受け取ることができます。その手順は次の通りです。

(1)生命保険会社へ連絡をする
(2)生命保険会社から請求書を受け取る
(3)請求書を作成し、必要書類をそろえる
(4)生命保険会社へ必要書類を提出する
(5)生命保険会社から保険金を受け取る

以上のように生命保険金を受け取る事由が発生した場合には、まず保険金受取人が生命保険会社に連絡をします。
その後は生命保険会社の案内に従って、請求書の作成や必要書類を準備し、これらを提出すれば生命保険金を受け取ることができます。

保険金受取人が認知症の場合の問題性

先に説明したとおり、生命保険金を受け取るには保険金受取人が自ら手続きをする必要があります。しかし、受取人が認知症の場合は「本人の意思表示ができない」ため受取手続きを行うことができません。なぜなら、認知症の人は判断能力が欠けており本人の意思だけでは法律行為ができないからです。

こうした場合は通常は成年後見制度を活用することになります。成年後見制度を活用すると、受取人の代わりに後見人が受取手続きをすることができます。しかし、もし事前に後見人を立てていなければ、まず後見人を立てる手続きが必要になります。その結果、保険金受取までに時間がかかったり、受取人本人が自由に使えない等の問題が発生します。

【参考】相続人が認知症になったら

3.確実に保険金を受け取るための3つの対策法

保険金受取人が認知症になると受取手続きがストップしてしまいます。そこで、この問題を解決するための方法を3つ紹介します。

保険金受取人を変更しておく

契約時点では、保険金受取人が認知症になるとは思いも寄らなかったかもしれませんが、配偶者を受取人にしている場合は、年月の経過とともに、もしかしたら認知症の兆候が見られるようになるかもしれません。

こうした場合にはあらかじめ保険金受取人を「別の人に変更しておく」と良いでしょう。例えば、はじめは配偶者を受取人にしていたが、認知症の兆候が見られたら子供に変更するなどが考えられます。

ただし、保険金受取人を変更すると、本来受け取らせたい相手に保険金を受け取らせることができなくなります。保険金受取人の設定は、遺産分割や相続税の納税資金対策とセットで行うことが多いので、対策のつじつまが合うようにしましょう。

指定代理請求特約を活用する

最近の生命保険には「指定代理請求特約」と呼ばれるサービスがあります。これは簡単に言うと、本来の受取人が何らかの理由で請求できない事情があるときにに、あらかじめ指定された指定代理請求人が受取人に代わって請求することができるサービスです。生命保険金だけでなく、医療保険での入院給付金の申請などにも利用できます。

ただし、生命保険会社・内容によっては「指定代理請求特約」を使うことができない場合もあります。また、指定代理請求人となれる人は、被保険者の配偶者または直系血族であること、被保険者の療養看護に努め、または被保険者の財産管理を行っている方であることなど、各社によって様々な条件があります。この特約を利用する際には、条件をよく確認するようにしましょう。

生命保険信託を活用する

上記の二つの対策は、ある程度は有効ですが、やはり特定の保険金受取人あるいは指定代理請求人が保険金請求をする必要がありますので、これらの人が想定していなかった病気やケガなどで身動きできなくなってしまったときは、やはり問題となります。
そこで抜本的な解決策として、「生命保険信託」を活用する方法が考えられます。

生命保険信託とは、信託契約の一つで信託会社に生命保険金を受け取ってもらい、その保険金を管理・運用して受益者である「本来の受取人」に財産を交付することです。これによって認知症になってしまった受取人に代わって、信託会社が保険金を受け取り運用をすることが可能になります。

信託についてここでは詳しい説明を省略しますが、信託制度を利用すると幅広く自由な財産管理運用の設計が可能です。たとえば、後見制度を利用した場合、後見人の財産を売却したり預金を利用するためには家庭裁判所の許可が必要となります。後見人の利益に反することはできませんので、葬式費用や相続税納税に充てた後に残ったお金を自由に使うことはほぼ不可能となります。
一方で、信託制度を利用すれば、残ったお金を、その受取人の子供の教育資金として利用したり、そのお金で株式等を購入し運用して増やすことも可能になります

なお、生命保険信託を活用する場合には、生前に本人が信託会社と信託契約を交わす必要があります。信託契約においては、契約内容の検討、契約書の作成等のステップがあり、ある程度の時間はかかりますので、なるべく早めに契約を終えておく必要があるでしょう。

まとめ

高齢化時代では、生命保険の受取人も高齢であり認知症になる可能性も十分に考えられますが、受取人が認知症になってしまうと、後見人を新たに立てるなどの手間暇が生じ、受け取った保険金も自由に使うことができなくなります。
そこで、生命保険金を確実に受け取るための対策法を紹介しましたが、特に、生命保険信託を活用すると柔軟で自由な運用設計ができるため有効です。ただし、どれも本人が亡くなってからでは遅いですので、生前に行って備えておく必要があります。

相続税に強い税理士が問題を解決いたします

相続税申告は税理士によって力量の差がはっきりと現れます。
相続税について、下記のような不安・課題を抱えている方は、相続税に強い税理士にご相談ください。

  1. 相続税をなるべく安くしたい
  2. 税務調査が怖い
  3. 評価が難しい土地がある
  4. 相続関連のいろいろな手続きが面倒で困っている
  5. 生前対策をしたいが、何をしたら良いかわからない

相続発生前後を問わず、相続に関連する問題に対して、税理士はあなたの味方になりますので、まずは気軽に相談されることをオススメいたします。

この記事が役に立ったらシェアしてください!

あなたへおすすめの記事

GoogleAdsense関連コンテンツ