1.国分寺市の相続税申告の特徴
国分寺市は東京都の中央部、東側に小金井市、南側に府中市と国立市、西側に立川市、北側は小平市に囲まれています。
程よく便利で、程よく田舎な暮らしやすい街であり、ベッドタウンとして発展しています。
近年、国分寺駅周辺は積極的な再開発の途中にあり、住宅地以外でも注目のエリアとなっています。
今回は、そんな国分寺市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.国分寺市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、国分寺市を管轄している立川税務署、東京都、全国における相続税申告状況は次の通りです。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
立川税務署 管轄エリア | 19.37% | 14.07% | 3,020万円 |
東京都平均 | 22.56% | 16.25% | 3,029万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
※立川税務署は、国分寺市、立川市、昭島市、国立市、東大和市、武蔵村山市の6市を管轄しており、上記の数値はこれらの平均値となります。
立川税務署の数値は、東京都の数値にほぼ近い結果となっています。
東京都の課税割合16.25%というのは、全国47都道府県中においてトップの数値となっています。
立川税務署の課税割合14.07%という数値は、全国2位の愛知県13.93%という数値を上回っていることから、その管轄エリアにある6市は、相続税の課税について全国でもトップクラスの注意を払わなければならないということになります。
1-2.国分寺市は管轄内でも相続税に注意が必要
国分寺市や小金井市、武蔵野市、三鷹市といった都心部からJR中央線沿線が通る市は、直線的に都心へ向かえるアクセスの良さから、多摩地域のベッドタウンの中でも人気があります。
国分寺市は立川税務署管轄内でも、最も都心部の近くに位置しています。国分寺市のみの課税割合があるとすれば、多摩地域の平均値よりも高い数値となっているかもしれません。
2.国分寺市の特徴
国分寺市の面積は11.46㎢で、武蔵野段丘上にあることから全域がほぼ平坦地となっています。
人口は127,769人(令和4年2月1日現在)で、多摩地域26市の中で14番目の多さです。さらに人口は増加傾向にあり、人気の居住地であることが伺えます。都心から近く、程よい田舎であるという点から、リモートワークの発達とともにこれからも人口が伸びていくことが予想されるエリアです。
それでは、国分寺市の特徴とそれが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.優れた交通アクセスのベッドタウン
市内にはJR中央線・武蔵野線、西武国分寺線・多摩湖線が縦横に走っています。
西部に駅がない点が気になりますが、それをカバーするために、市内には京王バス、立川バス、銀河鉄道バス、西武バスの4つの路線バスが走り、さらに国分寺市が運営するコミュニティバス「ぶんバス」も運行されており、電車では移動しにくい場所へ繋がれています。
市域が狭いこともあって公共交通機関での生活に不便がない市です。
2-2.中心地は国分寺駅
中心駅となるのはJR中央線、西武国分寺線・多摩湖線が乗り入れている国分寺駅です。
市の最東部にある駅で、新宿まで約20分で行くことができる好立地にあり、市内で最も需要が高いエリアになります。
さらに近年は積極的な再開発が行われており、2018年に誕生したツインタワーの駅ビル「シティタワー国分寺 ザ・ツイン ウエスト/イースト」は、国分寺駅の景色を一転させました。
交通広場の整理も現在進行中であり、快適な駅前環境になる予定となっています。
地価の上昇が期待されるエリアであり、大昔に購入した土地は評価額が跳ね上がっている可能性があるため注意しなければなりません。
このエリアに不動産を所有している場合には、一度は相続財産総額を把握しておきましょう。
2-3.高所得サラリーマンが多い
JR中央線沿線は住宅地として人気が高いのですが、中でも国分寺市は東西に中央線が通り、駅も3つあることから、暮らしやすい街として確固たる地位を築いています。
国分寺市のキャッチフレーズである「緑豊か 小川のせせらぎ 自然の資源があふれるそんなまち」の通り、都会でありながら自然が豊かな住環境があり、なおかつ通勤時間に無理がない、ベッドタウンとして最高の条件を提供できる市です。
一方で、地価は高く、平均所得並みのサラリーマンが手を出せる金額ではありません。高級住宅街はないものの、居住者の所得層は全体的に高いと考えられます。
2-4.国分寺市の地価
国分寺市の平均地価は1㎡あたり43万4,818円で、東京都全59位中26位の金額となっています。
立川税務署の同管轄エリアにある他の5市は、立川市17位、昭島市42位、国立市32位、東大和市44位、武蔵村山市47位となっており、国分寺市は2番目です。立川市の地価は1㎡あたり66万円と高額であり、東京23区をも超えています。立川税務署管轄内6市の中で、相続税の課税の中心地が立川市であることは間違いないでしょう。
昭島市、東大和市、武蔵村山市の地価はいずれも低く、特に東大和市と武蔵村山市は1㎡あたり10万円台となっており、立川税務署の平均値を下げていると考えられます。
市内で最も地価が高いエリアは国分寺駅で1㎡あたり47万円となっており、2位の国立駅の39万円に8万円の差を付けています。再開発が進行中であることを考えると、今後の地価の動向にも注意をはらう必要です。
最も地価が低いエリアは、市の中央部に位置する恋ヶ窪で、1㎡あたり26万円です。すぐ近くの国分寺駅とは21万円もの差があります。
もっとも、宅地の平均坪数である40坪を恋ヶ窪で購入するとなると、土地のみでも3,500万円を超えることになります。新築戸建てとなると安くても6,000万円前後でしょう。国分寺駅周辺だと1億円近い物件もあります。
こうしたことから、国分寺市ではどのエリアに居住している人であっても、マイホームを所有している時点で高所得者が多いと考えられます。
3.国分寺市の税理士情報
全国には80,054人(令和4年2月末日時点)の税理士がいます。その3割にあたる23,841人が東京都に、さらにそのうち103人が国分寺市にいます。
なお、東京税理士会東立川支部は立川税務署と同じ6市を管轄しており、その6市にいる税理士は約460人となっています。
立川税務署の令和元年における相続税申告件数は1,159件であり、それを税理士1人あたりの相続税申告数を計算すると、0.39件になります。
東京都全体では0.76件であることから、国分寺市は相続税に強い税理士を探しにくい環境にあることが分かります。
3-1.国分寺市内より東京23区で
税理士1人あたりの相続税申告数は、立川税務署と東京都全体で倍近く違いましたが、これは東京都の税理士の約9割が東京23区に集中していることが理由です。
それだけ税理士の需要が高く、高収入が得られる仕事が多いのが東京23区だからです。東京23区で相続税を専門としている税理士の中には、複雑な相続税申告を年間100本以上こなしている人もいます。
一方で、国分寺市内には税理士が103人しかいません。しかも、高級住宅街がないため超富裕層は少なく、複雑な相続税申告を年間に何本もこなしている税理士は、いたとしても数人でしょう。
こうしたことから、国分寺市の少ない人数から選ぶよりも、23区で探すことで、効率的に相続税に強い税理士を見つけ出すことができます。
3-2.武蔵野市も候補に
「23区まで出るのは…。」という場合には、武蔵野市の税理士も候補にしたら良いでしょう。
武蔵野市には吉祥寺があり、多くの超富裕層が居住しています。相続税専門税理士の需要も高く、さらに東京23区よりも国分寺市の地元情報に長けている可能性が高いです。
東京23区の税理士数には遠く及びませんが、生前の早いうちから探すことで、条件に合った税理士を見つけることができるでしょう。
【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、東京税理士会HP、東京税理士会 立川支部HP