1.狛江市の相続税申告の特徴
狛江市は東京都のほぼ中央下部、多摩地区の最西部に位置しており、南側は多摩川を挟んで神奈川県川崎市、東側は世田谷区、北側は調布市に接しています。
その立地を見るとお分かりいただける通り、都内へ通勤する人のベッドタウンとして機能している市です。
今回は、狛江市の相続税申告について詳しく解説します。
1-1.狛江市の相続税申告状況
狛江市を管轄している武蔵府中税務署、東京都、全国における、令和元年の相続税申告状況は次の通りとなっています。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
武蔵府中税務署 管轄エリア | 24.23% | 17.24% | 2,311万円 |
東京都平均 | 22.56% | 16.25% | 3,029万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
1-3.武蔵府中税務署管轄3市の相続税課税率
武蔵府中税務署は狛江市、調布市、府中市を管轄しているため、上記の数値はこの3市の平均値です。
多摩地域西部の多くは、東京23区のベッドタウンとして機能しているため、23区に近い程人気があり、それに手が届く富裕層の居住者の割合が高くなる傾向があります。
府中市、調布市、狛江市は狛江市が最も東京23区に近くなっていますが、府中市と調布市も交通の利便性が高いことから、この3市は地価に大差がありません。
よって、3市の平均値ではありますが、いずれの市も平均値並みの相続税の課税がなされていると考えられるでしょう。
1-2.武蔵府中税務署管轄内は相続税課税の要注意エリア
武蔵府中税務署の数値は、課税割合の全国47都道府県ランキング1位の東京都の数値を上回っています。
納付税額こそ下回っていますが、これは東京23区を含む東京都全体の数値の方が高額だからであり、武蔵府中税務署の数値も十分高額であるといえます。
2.狛江市の特徴
狛江市の面積は6.39㎢で都内で最も小さく、全国でも埼玉県蕨市に次いで2番目に小さい都市です。
都心への利便性の高さと、多摩川が流れるのんびりとした環境を併せ持っており、約8万人の人々が生活しています。
枝豆が名産品となっており、市の形も枝豆のような形をしているという面白い偶然があります。
それでは狛江市の特徴と、それが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.都心や横浜へ好アクセスの街
狛江市は世田谷区に隣接しており、JR小田急線が市域の東西を貫いています。都心や横浜方面へのアクセスに優れており、新宿や渋谷まで25分以内で到着可能です。
路線は1本ですが、市域の中央部を通っていることと、市域が狭いこと、満遍なく3つの駅が配置されていることから、どこに住んでも最寄り駅が近くにないという不便さはありません。全域に完成した住宅地が広がっています。
2-2.中心地は狛江駅周辺
中心駅として機能しているのは狛江駅で、派手さはありませんが、「小田急マルシェ」という駅ビルもあり生活に必要な買い物に困ることはありません。その先にはこじんまりとした商店街も広がり、個人経営の飲食店が並びます。
「ちょうど良い。」がしっくりとくる街並みとなっています。
2-3.駅前は再開発され新築マンションが並ぶ
狛江市は昔から住宅地として発展しており、古くからの住宅も多い一方で、近年では再開発が行われ、駅前には大規模な新築マンションが完成しています。
需要がある街なので、古い家や畑が新興住宅地になったりするケースも多く、常に生まれ変わっています。
マイホームを購入することが多い子育て世代を中心に、人口は増加傾向にあります。
2-5.狛江市の地価
狛江市の平均地価は1㎡あたり34万2,166円で、東京都全59位中31位となっています。
東京都内では決して地価が高いエリアではありませんが、一戸建ての平均的な宅地面積である40坪の新築建売戸建てを購入するとなると、その金額は安くても5,000万円、6,000万円が相場となっています。
一般のサラリーマンではなかなか手が届く金額ではなく、狛江市にマイホームを所有できているという時点で、高所得者であるといえるでしょう。
市内で最も地価が高いエリアは、狛江駅周辺で1㎡あたり36万円。一方で、最も地価の低いエリアは南部の和泉多摩川で、1㎡あたり33万円となっています。
狛江駅と和泉多摩川では3万円しか差がないことから、狛江市は居住地による地価の格差が小さい街であることがわかります。
どこに居住していても相続税課税の可能性があるということであり、狛江市に不動産を有している時点で相続財産と相続税の試算は必須といえるでしょう。
3.狛江市の税理士情報
全国には、令和4年2月末日時点で80,054人の税理士がおり、その3割にあたる23,841人が東京都にいます。
しかし、狛江市にはわずか30人しかいません。武蔵府中税務署の管轄内である府中市、調布市、狛江市を合わせても300人弱です。
武蔵府中税務署の令和元年における相続税申告数が1,140件であったことから、税理士1人当たりの申告数は0.26件となります。
これに対して、東京都全体では0.76件であることから、その3分の1しかありません。これは、東京都の税理士の9割になる約21,500人が東京23区に集中していることが理由です。
特に狛江市は、世田谷区に隣接しているため、狛江市で開業するより東京23区内で開業する税理士が多いことがその理由と考えられます。
狛江市のみの数値を聞くと不安になりますが、東京都は狭く、また交通アクセスが優れているため、税理士探しは東京23区内で行うことが前提となります。
3-1.相続税に強い税理士を見つける
相続税は他の税金に比べて高額になる可能性が高いにもかかわらず、相続財産の評価計算は、計算する人の考え方、捉え方などによって金額が変わってくる繊細な税金です。
相続税に弱い税理士と、相続税に強い税理士とでは、納付税額が数千万円変わることもあるため注意が必要です。
相続税の命運は、依頼する税理士にかかっているといっても過言ではないでしょう。
相続税への強さは一概に決まるものではありませんが、それを左右する明確な基準として、「どれだけ複雑で難しい相続税申告を、どれだけ経験したか。」です。
複雑で難しい相続税申告は、多くの財産所有している富裕層で起こりやすく、経験数は、相続税申告が起こりやすいエリアに事務所を構えているかで分かります。
要するに、お金持ちエリアほど相続税に強い税理士が多いということです。
3-2.近場では世田谷区がおすすめ
狛江市のお隣にある世田谷区は富裕層が多く居住するエリアであり、土地だけで数億円という東京都を代表する高級住宅街が区域全体に散らばっています。小田急線沿線にある「成城」は、東京都のみならず全国屈指の高級住宅街です。
医師や士業、有名芸能人などが居住しており、桁違いの相続税申告が頻繁に発生します。その依頼に対応している税理士の腕は間違いないものがあるでしょう。
狛江市内の税理士30人から探すよりも世田谷区を探した方が、相続税に強い税理士に出会える可能性が断然高く、また複数の候補の中から人間的にも合う税理士を探すことができます。
3-3.その他おすすめの3区
世田谷区以外にも次の3区は高級住宅街で有名であり、課税割合はいずれも30%前後と都内でもトップクラスに高いエリアです。
- 千代田区
- 渋谷区
- 目黒区
相続税に強い税理士が育ちやすい環境のあるエリアといって良いでしょう。
世田谷区よりは行く時間がかかりますが、10分程度の違いであり、積極的に探してほしいエリアになります。
特に千代田区は、日本トップクラスの限られた超富裕層が居住する別格エリアになります。
千代田区の番町に10坪の狭小住宅を建てるとしましょう。土地だけで1億5,000万円と普通では考えられない金額になります。分譲マンションでも億ションは当たり前です。
他の区に比べて相続財産も高額になりやすいため、課税割合は38.52%と都内トップの数値を誇っています。
千代田区で長年、相続税専門として事務所を構えている税理士の相続税へ強さは、全国有数でしょう。
3-4.税理士報酬とのバランスも重要
相続税申告は、相続税に強い税理士に依頼するのがベストであることは間違いありません。
しかし、自身の相続財産額とのバランスも重要です。相続財産額が大きい程、節税の余地があり、税理士の腕が発揮できるからです。
例えば、狛江市内の税理士に相続税申告を依頼した場合の税理士報酬が100万円だったとしましょう。相続税への強さは普通で、50万円節税できました。
次に、千代田区の相続税専門税理士に依頼した場合の税理士報酬は300万円、節税できた金額は100万円だったとします。
両者を実質の負担額で比較すると、50万円と200万円ということになり、相続税への強さは普通の税理士の方が、費用負担が少なく済んでいます。
これが、相続財産が億を超えるような場合には、千代田区の相続税専門税理士であれば、1,000万円の税理士報酬がかかったとしても、2,000万円の節税ができるかもしれません。
無条件に最高の税理士に依頼した方が良いわけではない点に注意しましょう。
【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、東京税理士会HP、東京税理士会武蔵府中支部HP