2018年(平成30年)の路線価公表、都市部と地方の二極化が明確に

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2018年7月2日に2018年の全国の路線価が発表されました。路線価は土地の取引価格などに影響を与えるため、相続税とも非常に密接な関係のある数字です。どのように2017年から変化したのか、その背景にあるものはどんな影響なのかを一緒に確かめていきましょう。

1.2018年(平成30年)路線価の概要

国税庁は2018年7月2日に1月1日現在の2018年分の路線価を発表しました。2017年分の路線価と比較すると標準宅地は0.7%のプラスを記録し、3年連続での上昇を見せています。2016年から2017年の上昇率が前年比0.4%だったことから、2倍程度の伸び率となっており、2016年から大きく路線価が上昇していることが分かります。

さらに、都道府県別の路線価を見てみると、2017年は13都道府県での上昇となっていましたが、2018年は18都道府県で上昇しており、より広範囲で上昇傾向が現れています。一方で、29都道府県で路線価が下落しており、2017年の下落した32都道府県よりも減少しています。これは、2017年に減少した九州地方の路線価が上昇したことで、下落した都道府県数が減少したのです。

また、県庁所在地別に見てみると、茨城県水戸市のみが路線価が減少しており、13都市で横ばいとなっています。2017年は下落したのは3都市、横ばいは16都市となっていましたので、県庁所在地別でも全国的に路線価が上昇していることが分かる結果となっています。

こうした路線価の上昇は、訪日外国人客の増加によるホテルやリゾート開発の需要上昇、こうした施設・都市開発による影響などによる不動産売買が活発化した結果が関係していると考えられています。特に、海外企業からのオフィスビルの購入などが活発に行われた結果、都市部を中心とした路線価の上昇が起きているのです。

2.都道府県別変動率順位と概況

順位都道府県2018年(%)2017年(%)
1沖縄県5.03.2
2東京都4.03.2
3宮城県3.73.7
4福岡県2.61.9
5京都府2.21.4
6愛知県1.50.8
6広島県1.51.2
8大阪府1.41.2
9福島県1.31.9
10北海道1.10.9
11千葉県0.70.5
11埼玉県0.70.3
11長崎県0.7-0.2
11熊本県0.7-0.5
15神奈川県0.60.4
16滋賀県0.2-0.2
16佐賀県0.2-0.4
18岡山県0.10.0

都道府県別の上昇率では、沖縄県が東京都を抑えてトップとなっており、沖縄県と東京都の差は1.0%となっています。次いで、宮城県、福岡県、京都府と続いていきます。2017年は東京都と沖縄県は同率の上昇率だったため、沖縄県の方が特に上昇していることが分かります。

また、2017年はマイナスだった都道府県がプラスに転じている地域が多いのも2018年の特徴で、特に熊本県での地震が影響していた九州地方の地域が軒並みプラスになっています。そのため、宮城県などの東北地方も含めた復興による路線価の上昇が見られる年といえるかもしれません。

全体的に見ると、沖縄県や京都府、北海道などの観光地の路線価の上昇が見られており、宿泊施設やリゾート施設の需要が伸びた影響が路線価にも現れているのが分かります。
そして、都市未来総合研究所によると大企業などによる不動産売却価格は2016年度と比べて2017年度は約20%増加したと発表しています。このことから、都市部では大型オフィスビルや賃貸住宅の売買が活発化し、その影響により路線価が上昇していると考えられています。

3.都道府県庁所在地の最高路線価順位と概況

順位都道府県最高路線価の所在地2018年
(万円)
2017年
(万円)
上昇率
(%)
1東京都中央区銀座5丁目
銀座中央通り
4,4324,0329.9
2大阪府大阪市北区角田町
御堂筋
1,2561,1766.8
3神奈川県横浜市西区南幸1丁目
横浜駅西口バスターミナル前通り
1,02490413.3
4愛知県名古屋市中村区名駅1丁目
名駅通り
1,00088013.6
5福岡県福岡市中央区天神2丁目
渡辺通り
70063011.1
6京都府京都市下京区四条通寺町
東入2丁目御旅町四条通
47539221.2
7北海道札幌市中央区北5条西3丁目
札幌停車場線通り
42436815.2
8兵庫県神戸市中央区三宮町1丁目
三宮センター街
39232022.5
9埼玉県さいたま市大宮区桜木町2丁目
大宮駅西口駅前ロータリー
33029910.4
10広島県広島市中区胡町
相生通り
2802569.4

県庁所在地別の最高路線価の2018年の順位は上記のようになっており、統計を始めて以来33年連続で東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りが1位です。この2018年の順位は2017年の順位と全く同じで変化していないのです。特に、この銀座中央通りの路線価はバブル期を大きく超えた2017年よりも上昇しており、今後の上昇に注目が集まっています。

また、この順位の中では京都府や兵庫県の上昇率が20%を越えているのが特徴的で、京都市は2017年に続いて20%を超える上昇を見せています。さらに、愛知県は2017年の上昇率は4.8%だったのにかかわらず、2018年は13.6%の上昇を見せていることから、この1年で大きく需要が伸びた地域であるといえるでしょう。

実は、東京都や大阪府など2017年大きく上昇した地域は路線価が高い一方で、上昇率は下がっています。反対に、2017年上昇率が伸び悩んだ地域では、高い上昇率が現れています。ですので、路線価の順位は変わらないのですが、その上昇率には大きな差が現れる結果となっています。

4.都市と地方の二極化がより顕著に現れる結果に

2018年の路線価は全国的に上昇しており、都市部だけでなく観光地の路線価も上昇し傾向にあり、さまざまな地域で2017年を上回る路線価を記録しています。特に、震災からの復興を目指す地域の路線価は基本的に上昇しており、こうした発展が全体の路線価上昇に影響を与えています。

しかし、こうした路線価上昇の裏に、2017年から連続して下落している地域もあります。青森県や秋田県、鹿児島県などは、2年連続1%以上の下落を記録しています。そのため、都市部と地方では路線価の上昇率に大きな差が現れており、2017年以上に二極化が顕著に現れています。

また、都市未来研究所では都市部の路線価上昇はバブルのような一時的なものではなく、オフィスビルや賃貸物件などの実需に基づいた確かな値上がりだと発表されています。ただし、実需による上昇であることから人口減少や交通の利便性が低い地方は下落傾向が続く可能性が高く、今後より二極化が鮮明になっていくとも考えられています。

訪日外国人観光客が増えたことで観光地を中心とした路線価が上昇した2017年から、ビジネス地としての需要が加わったことでさらなる上昇をした2018年。2019年以降はオリンピックなどの影響でさらなる路線価上昇が起こる可能性が高くなるため、東京都を中心とした関東地域での路線価には細心の注意を払っておくことが大切です。そして、地震により大きな被害が現れた大阪府の路線価がどのように変化するのかにも注目おきましょう。

【参考】路線価の計算方法

路線価による土地の相続税評価額の計算方法については、下記を参照ください。

【関連】相続税・贈与税における土地の評価方法(路線価方式と倍率方式)
【関連】宅地の路線価方式の計算

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