【2020年版】名古屋市の路線価と公示価格、16区の地域事情

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2020年1月1日時点における路線価が、つい先日の7月1日に国税庁より発表されました。
同日における公示価格は既に3月に国土交通省より発表されており、これで土地に関する最新の価格情報が揃ったことになります。

今回は名古屋市に焦点を当てて、区ごとの特徴や公示価格と路線価の動向を解説します。

1.愛知県の公示価格と路線価の動向

公示価格とは一般的な土地取引を行ううえで指標となる金額、路線価とは相続税や贈与税を算定する基準になる金額です。路線価は相続税や贈与税を納めやすくするために、公示価格の8割程度の金額で設定されています。

名古屋市がある愛知県全体の路線価の前年比における変動率は1.9%で、8年連続の上昇となっています。

公示価格は平均21万2251円/㎡、坪単価では平均70万1657円/坪で、47都道府県中5位です。前年比変動率は1.81%で、変動率での順位は47都道府県中10位となっています。

2.名古屋市の公示価格と路線価の動向

愛知県の平均値を底上げしているのが、三大都市圏である名古屋市です。
名古屋市で最も路線価が高かったのは、JR名古屋駅前の1㎡あたり1,248万円で、前年比での変動率は13%と大きく上昇しました。

名古屋市の最新公示価格は平均47万7644円/m2、坪単価では平均157万8989円/坪となっており全国市町村中23位、前年比変動率は4.06%で78位です。

3.名古屋市16区の地域事情と地価について

それでは名古屋市の区ごとに詳しく見ていきましょう。

【出典】名古屋市HP

名古屋市全体の公示価格と路線価の平均は次の通りです。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格190,000863,00088,000
路線価152,000690,00071,000
変動率2.9%10.4%1.0%

3-1.千種区

千種区は名古屋市の中で5番目に人口が多い区です。西部と北部に商業地区、中心部に文教地区があり、家族世帯に人気のエリアです。

地価は全域で上昇しており、東山線の駅周辺ほど上昇傾向が顕著です。名古屋市全体と比較すると、市内では平均を若干下回る変動率ということになります。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格252,000447,000-
路線価202,000357,000-
変動率2.0%6.9%-

3-2.東区

東区は名古屋市の中で最も面積の小さい区で、南西部には大手企業の本社や支社が立ち並んでおり、都心的な役割を果たしています。近年では大規模な住宅開発が行われ、人口増加が進んでいます。

公示価格、路線価共に変動率が大きく、市内でもかなり上昇しているエリアです。住宅地の価格も名古屋市の平均からすると倍以上と、高級住宅地となっています。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格428,000887,000-
路線価342,000710,000-
変動率6.3%11.7%-

3-3.北区

北区には以前大きな工場地帯があり、そこに現在ではマンションや公営住宅が立ち並んでいます。
JR中央本線やTKJ城北線、名鉄瀬戸線と小牧線、市営地下鉄名城線と上飯田線が通り、幹線道路も張り巡らされているためアクセスが良く、ベッドタウンとして住宅がメインとなっています。人口は名古屋市の中でトップレベルです。

変動率は住宅地、商業地ともに小幅な上昇で、庄内川より北側へ進むと駅からも遠いため下落傾向にあります。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格163,000236,000 -
路線価130,000189,000 -
変動率1.2%3.5%-

3-4.西区

西区は名古屋駅がほど近いため、交通網に不便がありません。買い物やビジネス、他県へのアクセスなど不便のない日常生活を送ることができるエリアです。

区内全域で上昇傾向にあり、特に名古屋駅に近いほどその傾向が強くなります。変動率は名古屋市のほぼ平均値となっています。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格178,000360,00084,000
路線価142,000288,00067,000
変動率2.3%10.1%0.8%

3-5.中村区

中村区は名古屋市の中心部である中区の隣にあり、名古屋駅西口周辺に位置しているのでアクセスが良く、中区への通勤通学者のベッドタウンとして人気です。

名古屋駅の周辺には数多くの企業や金融機関などの高層ビルが集まり、商業施設の建設など開発が盛んなため、区の東側ではかなり地価が上がっており、平均価格を押し上げています。

2020年最新の路線価において、中部3県(愛知、岐阜、三重県)でトップとなったJR名古屋駅前は中村区にあります。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格182,0002,210,000 -
路線価146,0001,770,000 -
変動率3.4%11.2%-

3-6.中区

中区は名古屋市の中央部に位置しており、行政や金融、商業施設など、経済の中枢機能が集結しているエリアです。
前回調査(2019年1月1日時点)の路線価では、中区の名古屋三越栄本店前が県内上昇率1位となっており、1㎡あたりの価格は東京都渋谷区並みの水準に達しました。

2027年にはリニア中央新幹線の開業を予定しており、それに合わせた周辺の再開発も進んでいるため地価上昇が続いています。住宅地、商業地、工業地共に名古屋市内の平均価格をはるかに超えており、特にこの数年間の上昇には目を見張る勢いがあります。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格849,0001,800,000202,000
路線価679,0001,440,000162,000
変動率14.7%11.9%3.5%

3-7.昭和区

昭和区は中区の右横、名古屋市の中心部に位置しています。
中部地方屈指の文教地区であり、名古屋大学医学部、名古屋工業大学、中京大学、南山大学など高等教育機関が密集しています。その他は区内のほとんどが住宅地であり、程よい自然がある落ち着いた街並みが魅力のエリアです。

商業地としての地価は高くはありませんが、住宅地は平均より高くなっています。2013年から2020年までの変動率は32.7%と大幅な上昇をしており、現在は上昇が落ち着いた状況であるといえます。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格296,000328,000 -
路線価237,000262,000 -
変動率1.0%2.1%-

3-8.瑞穂区

瑞穂区は昭和区の下に位置しており、数多くの教育機関がある文教地区として知られています。名古屋市立大学の各キャンパスや名古屋女子大学をはじめとして、多くの小学校、中学校、高等学校があります。
西側では工業が発展しており、工場も多いエリアです。

文教地区であるため家族世帯が多いため住宅地としての需要が高く、価格も平均より高くなっています。反面、商業地としての魅力は低くなります。変動率は1%台で、ほぼ横ばいの安定した地価となっています。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格246,000263,000 -
路線価197,000210,000 -
変動率1.2%1.8%-

3-9.熱田区

熱田区は名古屋市で最も人口の少ないエリアではありますが、近年の積極的な地域開発によって人口は増加に向かっています。

熱田駅周辺はここ数年の上昇傾向は強く、住宅地、商業地、工業地すべてで名古屋市の変動率を超えています。特に住宅地と工業地の上昇は顕著です。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格206,000487,000167,000
路線価165,000390,000134,000
変動率5.8%11.1%4.2%

3-10.中川区

中川区は名古屋市で人口が2番目に多いエリアです。要因としては、近年宅地開発が積極的に行われており、更に地価が低いこともありベッドタウンとして人気があります。

変動率としては住宅地や工業地は1%を切っており、過去7年間の推移をみても2.7%の上昇と小幅です。
近鉄八田駅の周辺では高い上昇率となっていますが一部にとどまり、更に西側のエリアでは下落している地点もあるため、区全体の変動率は低くなっています。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格128,000179,000102,000
路線価102,000143,00082,000
変動率0.9%2.5%0.5%

3-11.港区

港区は市の南西部に位置している市内で最大面積の区です。その区名通り、日本を代表する国際貿易港の1つである名古屋港があり、中部圏の経済を支えています。

広大な面積とウォーターフロントを生かした名古屋港水族館や名古屋海洋博物館など観光産業も盛んで、多くの人が訪れる街です。一方で、農地が面積の3割を占めており米作りが盛んです。

土地が広く田園風景が広がっているような地域なので、良くも悪くも一言で表すと田舎です。地価も名古屋市の平均と比較すると非常に低くなっており、変動率も微弱です。

前年比では1%前後の上昇とはなっていますが、2013年から2020年までの推移で見ると3.8%下落しています。特別高い地域、低い地域があるというわけでもなく、全体的に下落傾向にあります

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格108,000135,00059,000
路線価87,000108,00047,000
変動率1.0%1.5%0.1%

3-12.南区

南区は港区の東側に位置し、西部は鉄鋼、金属、化学、機械などの工業地帯、南部には繁華街「新瑞」を中心とした商業が発展しており、丘陵地である東部には住宅地が広がっています。

地価はほぼ停滞している状況が続いていましたが、2018年から小幅な上昇をしています。力を入れて開発されているエリアではないので、今後も横ばいに近い状況が続くでしょう。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格133,000138,00090,000
路線価107,000111,00072,000
変動率1.3%1.1%0.3%

3-13.守山区

守山区は美濃東部や木曽などの山間部に最も近い地域であり、東谷山は名古屋市内で最も標高が高い場所になります。山と川の自然が豊かで、地価が低いことから住宅地に人気が集まっており、名古屋市内でトップクラスに人口が多いエリアです。

商業地や工業地の変動率は低いですが、住宅地では2%と名古屋市の平均に迫っています。田舎であるにもかかわらず、ほぼ全域が上昇傾向にあります。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格122,000133,00093,000
路線価98,000106,00074,000
変動率2.0%1.8%1.0%

3-14.緑区

緑区は港区に次いで面積が大きく、人口は名古屋市最大です。
北部と南部には広い住宅地があり、南部にはJR東海道本線と名鉄名古屋本線、北部には地下鉄桜通線が通っているため、都心部へ通勤通学する人のベッドタウンとなっています。

前年比における変動率は1%または1%未満と、ほぼ横ばいの状況ですが、2013年から過去7年間の合計では14.9%の上昇となっており、近年では上昇傾向が少し落ち着いたという見方になります。
全体的な傾向として、ベッドタウンであるがゆえに駅に近いかどうかが重要なポイントになっています。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格148,000166,00086,000
路線価118,000133,00069,000
変動率0.7%1.0%0.5%

3-15.名東区

名東区は元々田園地帯でしたが宅地開発が進み、現在では全域が閑静な新興住宅地となっています。
公園がたくさんあり、区の子育て支援も充実しているので、特に若い世代のファミリー層に人気となっています。毎年1万人を超える人が引っ越しており、今後も人口増加していくと思われます。

住宅地の地価は名古屋市の平均的な金額で、上昇率も同程度です。新しい街、若い世代に人気があるという点は上昇を維持していく強みです。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格206,000258,000 -
路線価164,000206,000 -
変動率2.3%3.1%-

3-16.天白区

天白区は「てんぱくく」と読みます。名東区と共に創設された新しい区で、地下鉄や市営バスなどの公共交通機関の整備に伴って住宅地化が進んでいますが、名東区に比べるとまだ発展途上です。

今後の開発が期待される中、住宅地としての地価はまだ名古屋市の平均を下回っているため、投資のチャンスが隠れているかもしれません。

区分住宅地商業地工業地
平均価格
(円/㎡)
公示価格173,000197,000113,000
路線価138,000158,00091,000
変動率1.2%2.0%0.9%

まとめ

名古屋市は、2020年1月1日時点での公示価格と路線価においては、主要都市圏としての需要から地価も上昇し続けています。

ただし、今後は新型コロナウイルスが地価にどう影響するかを懸念しなければなりません。特に名古屋市の場合には、リニア中央新幹線の2027年開業が危うい状況になっており、これに伴った経済の後退は計り知れないと考えられます。

国税庁は10月以降にも路線価の補正を行う考えを示しており、前代未聞の流れに注目が集まります。

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