足立区の相続と税理士事情
東京都23区の最北端に位置している足立区。荒川や隅田川など、いくつかの川がある足立区は、川が地域の境目になっているところも多く、都会ではなかなか見られない自然が豊かなエリアです。そんな居心地の良い足立区では、相続や相続税にどのような特徴があるのでしょうか?一緒に確かめていきましょう。
1.足立区の相続事情
足立区の1年間の相続税の申告件数は714件、実際に課税された件数は520件です。相続1件あたりの納付税額は約2,700万円、課税割合は7.97%になっています。東京都23区内の相続税に関する平均データでは、1件あたりの納付税額は約3,000万円、課税割合は16.78%です。
この平均データと比較すると、1件あたりの納付税額と課税割合はともに平均データを下回る結果になっています。特に、課税割合は少なくなっており、23区内では最も低い割合です。一方で、1件あたりの納付税額は平均を下回っているものの、最低金額ではありません。
つまり、課税される可能性は低いものの、平均並みの相続税額が課税されているということが足立区の相続の特徴といえるでしょう。そして、課税される可能性が低いといっても課税される金額は非常に高額です。きちんとした相続税対策が求めているということを、しっかりと覚えておきましょう。
2.足立区の地価事情
足立区の相続税の特徴を、まずは地価から考えていきましょう。
2-1.足立区の代表的な地域と地価
2-1-1.北千住
足立区の南部に位置している千住地区。その中央部に位置しているのが北千住です。厳密には行政地名ではなく、あくまでも地域名を表す言葉として古くから使われてきた呼び名の1つです。隅田川の北部、荒川と囲まれている周辺を指し示しています。
また、地域には北千住駅が建設されており、この駅周辺の地域を北千住と呼ぶ場合もあります。この北千住駅は足立区最大のターミナル駅として機能しており、都内の都市部へのアクセスが手軽に行えるため、毎日多くの人が活用しています。
北千住の地価平均は約65万円で、足立区で最も地価が高額な地域です。特に、北千住駅周辺は地価が高額になっており、中には100万円を超える地域も存在しています。これは、交通の利便性が高いということだけでなく、2000年以降に行われた再開発により大型商業移設が新設されたことで、駅周辺の地価がより高額になった考えられます。
さらに、駅から離れたところには住宅街が形成されており、その地域の地価は約30~40万円と住宅街にしては高額な価格を記録しています。つまり、相続が起こりやすい住宅街でも地価が下がりにくいため、土地に課税される相続税が高額になりやすいといえるでしょう。
2-1-2.南千住(荒川区)
名前の通り、千住地区、北千住の南部に位置している南千住。こちらも隅田川が境目となっており、隅田川の南部周辺を指し示しています。ただ、南千住は荒川区に属する地域であり、北千住と南千住が2つの区の境目にもなっています。
この地域の中心駅は南千住駅であり、駅周辺は1987年頃から現在に至るまで再開発が行われています。特に、超高層マンションや商業施設の建設が相次いでおり、これからも続々と建設が進んでいくことが予定されています。
南千住の地価平均は約43万円で、北千住よりも価格が下がっている事がわかります。南千住は再開発が進んでいる地域ですが、基本的には住宅街やマンション街が広がっています。駅周辺も商業施設よりもマンションの方が多く建設されているので、商業地に比べると地価が伸びにくいのかもしれません。
また、駅の近隣にはJR貨物隅田川駅が存在し、この駅はコンテナなどを保有するために広大な面積を有しています。ですので、大型商業施設などを建設することが難しいため、人口増加に伴うマンション建設に重点が置かれていると考えられます。こうした土地活用の制限も、北千住に比べて地価が伸びにくい要因になっているといえるでしょう。
2-1-3.綾瀬
北千住の北東部に位置し、綾瀬川がその名の由来となっている綾瀬。葛飾区と隣接しているこの地域は、戦後早くから土地区画整理事業が行われており、直線的な道路が整備されています。こうした道路整備の影響からか、バス路線がしっかりと整備されており、鉄道以外の交通機関も積極的に利用されています。
また、綾瀬駅周辺には複合型商業施設や商店街が形成されており賑わいを見せています。さらに、この綾瀬には東京武道館が建設されており、各種スポーツや音楽イベントなどが盛んに行われています。その結果、都外からも訪れる人が多いため、催し物が開催されている時には特に多くの人が訪れています。
綾瀬の地価平均は約43万円で、足立区内では3位の地価の高さを誇っています。駅周辺の地価はより高額な地域になっていますが、この地域以外では住宅街が広く整備されています。そのため、駅から離れるほどに住宅街としての色合いが濃く現れるため、地価も減少傾向にあります。
そして、綾瀬は道路が整備されていることから、バス路線が地域の足になっています。一方で、鉄道駅は地域の北端と南端に位置しているため、距離が空いてしまっています。その結果、交通の利便性に差が現れており、同じ地域内でも地価に差が現れていると考えられます。
2-2.足立区の地価の特徴
足立区全体の地価平均は約34万円で、東京都23区内では22位と順位は低いです。東京都全体では29位とほぼ中間に位置しています。ですので、23区内では地価は安いほうですが、都全体ではほぼ平均的な地価になっています。
また、足立区は住宅街と繁華街がハッキリと別れていることも特徴で、駅周辺の人が多く集まる地域以外ではほぼ住宅街として活用されています。そのため、繁華街の地価は高額ですが、住宅街や交通の利便性が悪いところでは大きくと地価が下がっています。
特に、足立区の中心駅である北千住駅はその影響が大きく現れるポイントで、地価の特徴も北千住とそれ以外に分けても問題がないほどです。つまり、区全体として見ても北千住に近いかどうかが地価を考える場合の重要点になります。
こうした地価の特徴から考えると、相続税が課税されやすいる地域は地価高額な地域にある程度特定される傾向が見えます。その結果、課税割合が低いにもかかわらず、課税額が平均並みの価格という足立区の相続の特徴が現れていると考えられます。ただし、足立区の全域で地価の上昇が見られており、今後の再開発などで地価が急増する可能性がありますので、地価の動向には十分な注意が必須となります。
3.足立区の所得と富裕層
次は、地価と同じく相続税への影響が大きい所得の状況についても確かめていきましょう。足立区の所得税の納税義務者数は約31万4,000人、課税対象所得は約1兆500億円です。ここから1人あたりの所得を計算すると約335万円です。
この所得金額は都内では62自治体中45位と下の方に位置しています。一方で、全国1,000以上の自治体の中で比べると、182位で上位10%程度の順位です。ですので、都内ではそこまでではありませんが、全国的に見れば富裕層が多い地域といえます。
都内の他の地域よりも所得が低い背景には、高所得者の分布に関係していると思われています。東京都で高所得な地域は、中~西部や南部に集まっており、足立区のある東部は全体的に低い傾向があります。
さらに、足立区は高所得者が集まる都心部から距離が離れていることから、都市部への通勤がやや困難です。その結果、高所得者は都心部に近い地域へ集まってしまい、足立区には高所得者が集まりにくいのだと考えられるのです。ただ、都内では低くても全国的には高所得なことは変わりませんので、相続税への対策はしっかりと講じておく必要があります。
4.足立区の税理士事情
地価や所得から考えると、ある特定の地域や世帯という限られたところで相続税が課税されている足立区。しかし、地価から相続税が課税されやすい地域は特定できるものの、住宅街が広く形成されているため、所得によってはどの地域でも課税される可能性が高いです。
そのため、税理士の力を借りてしっかりと相続税への対策を行うことが大切です。足立区に在籍している税理士数は415件で、1年間の課税件数は520件です。課税件数よりも税理士数が下回っていますが、一度に全ての相続が起きることはありませんので、不足することはないでしょう。
ただし、税理士数が多いとどこの税理士へ依頼してよいのか迷ってしまうこともあります。特に、依頼することに余裕があると相続が始まるまで準備をしないことも多く、その結果税理士選びに失敗してしまうこともあります。
そこで、相続が始まる前にいくつか税理士事務所へ無料相談などで訪れて、信頼できる税理士を見つけましょう。相続税は課税されなくても書類などの手続きを経て申告する場合もあります。相続税への直接的な対策だけでなく、税理士へ依頼することでさまざまなメリットがありますので、どんな状況でも頼りになる税理士を全力で探しましょう。
【参考】足立区内の相続関連機関一覧
足立区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年3月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
足立税務署 (千住地区、綾瀬地区) | 〒120-8520 東京都足立区千住旭町4番21号 足立地方合同庁舎 | 03-3870-8911 (代表) |
西新井税務署 (西新井地区) | 〒123-8501 東京都足立区栗原3丁目10番16号 | 03-3840-1111 (代表) |
東京都足立都税事務所 | 〒123-8512 東京都足立区西新井栄町2-8-15 | 03-5888-6211 (代表) |
足立区役所 | 〒120-8510 東京都足立区中央本町一丁目17番1号 | 03-3880-5111 (代表) |
東京法務局 城北出張所 | 〒124-8502 東京都葛飾区小菅4丁目20番24号 | 03-3603-4305 (代表) |
千住公証役場 | 〒120-0026 東京都足立区千住旭町40-4 サンライズビル3階・4階 | 03-3882-1177 |
東京家庭裁判所 | 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 | 案件により異なる HP参照 |
東京司法書士会 足立支部 | 〒113-0031 東京都文京区根津1-3-8 | 03-5814-1281 (代表) |
東京弁護士会 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館6階 | 03-3581-2201 (代表) |
第一東京弁護士会 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館11~13階 | 03-3595-8585 (代表) |
第ニ東京弁護士会 ひまわり | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館9階 | 03-3581-2255 (代表) |