清瀬市の相続税申告の特徴
清瀬市は東京都の中央北部、都心から約25キロメートル圏内に位置しています。
東村山市、東久留米市、埼玉県所沢市、新座市と隣接し、埼玉県に食い込むように接していることから、「埼玉県?」と良く聞かれるそうです。
周辺の市と同様にベッドタウンかと思いきや、清瀬市の市域の約4割は農地として活用されており都市農業が盛んに行われ、独自の魅力を確立しています。
今回は、そんな清瀬市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.清瀬市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、清瀬市を管轄する東村山税務署、東京都、全国における相続税申告状況は次の通りです。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
武蔵野税務署 管轄エリア | 17.87% | 12.98% | 2,510万円 |
東京都平均 | 22.56% | 16.25% | 3,029万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
東村山税務署の数値は、全国平均を上回り、東京都平均よりは下という結果になっています。
しかし、全国の平均値は、東京都の圧倒的な数値が底上げしているため、課税割合8.35%を47都道府県のランキングに当てはめると、13位にあたります。
さらに、その全国平均を大きく上回っている東村山税務署の課税割合12.98%も、同ランキングに当てはめると3位あたります。
したがって、清瀬市は、全国でもトップクラスに相続税課税への注意が必要なエリアということになります。
1-2.東村山税務署は5市を管轄している
東村山税務署は清瀬市、小平市、東村山市、東久留米市、西東京市を管轄しているため、相続税申告状況の数値はこれら5市の平均値になります。
これら5市の地価は、西東京市が突出して高く、相続税課税も多く起こっていると考えられます。
他4市については同程度の地価であり、相続税申告状況もそれほど大差ないでと思われます。
清瀬市のみの数値は公表されていませんが、東村山税務署の数値程度、もしくは若干下回る程度かと思われます。
2.清瀬市の特徴
清瀬市は、面積10.23平方キロメートル、人口は約74,848人(令和4年3月1日時点)の街です。
都心へ程近く、池袋まで30分もかからずに行くことができるほどであるにもかかわらず、水と緑に囲まれた豊かな自然環境が魅力のコンパクトシティです。
医療の街としても有名で、医療機関をはじめとして、国立看護大学や明治薬科大学などの医療系教育機関も集っています。
それでは小平市の特徴と、それが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.緑豊かなベッドタウン
清瀬市は農業や医療で有名ですが、市域の多くは住宅地で都心のベッドタウンとして機能しています。
市の西部には南北に西武池袋線が走っており、その路線沿いを中心に住宅地が広がっています。路線のない東部は平坦な地形を利用した農地が主となっています。
西武池袋線を利用すれば、都心へ直結でアクセスすることができ、池袋まで約30分、新宿駅や東京駅までは乗り換え含めて約40分となっています。
2-2.駅は清瀬駅のみ
市内には、清瀬駅しかありません。また、市の東部を通る武蔵野線の駅は、市内にはありません。
市域が狭く、路線沿いを中心に住宅地となっているため不便は少ないうえに、清瀬駅周辺は西武バスも通っており、JR中央線武蔵小金井駅、西武新宿線花小金井駅、西武新宿線久米川駅、西武新宿線、池袋線所沢駅、東武東上線志木駅まで行くことができるようになっています。
よって、居住地として人気が高いのは利便性の高い清瀬駅周辺であり、所得の高い人が多く居住すると考えられます。
2-3.都市農業が盛ん
清瀬市の市域の約4割は農地として活用されています。平坦であるため畑として利用しやすく、さらに黒土であるため根菜の栽培が盛んに行われています。特にニンジンの収穫量は都内45%のシェアを誇り、都内最大となっています。
都心から多少距離があると言っても清瀬市は東京都であり、地価は地方とは比べ物になりません。そこに広い田畑を所有しているとなると、土地の評価額はとんでもない金額になる場合があります。したがって、都市農業が盛んなエリアは、相続税課税に十分注意する必要があります。
農業法人として土地を所有している場合には、相続税の問題は生じませんが、個人行っている人が大半でしょう。
土地はもちろんのこと、コンバインやトラクターなどの事業用資産も相続財産になる点にも注意が必要です。
一度は、相続財産の把握と相続税課税の有無について確認しておくことをお勧めします。
2-4.清瀬市の地価
清瀬市の平均地価は1㎡あたり23万3,583円で、東京都全59位中37位の金額となっています。
都内では下位にあたりますが、戸建て住宅で一般的な40坪で換算すると3,000万円を超えます。全国的に見ると、決してお手ごろなエリアではないのです。
市内で最も地価が高いエリアは市内唯一の駅である清瀬駅周辺で、1㎡あたり23万円となっています。一方で、最も地価が低いエリアは市の東部に位置する東所沢で、1㎡あたり17万円となっています。
最高金額と最低金額の差額が6万円程度であることや、市内全域の平均値が最高金額と同程度ということから、住宅街が密集している西武池袋線の沿線はどこも1㎡あたり20万円程度はあると考えられます。
清瀬市の住宅街に居住している時点で、相続税が課税される可能性はあるということを念頭に入れておく必要があるでしょう。
3.清瀬市の税理士情報
全国の税理士数は80,054人(令和4年2月末日時点)、その3割にあたる23,841人が東京都にいます。
そしてそのうち、清瀬市に所属している税理士は31人(令和4年3月9日時点)で、東村山税務署が管轄している他4市を合わせた税理士数は約400人となっています。
東村山税務署の申告数1,250件と税理士数400人から、税理士1人あたりの相続税申告数を計算すると0.32件となり、年間3件以上の相続税申告を行っている計算になります。東京都全体では0.76件であることから、清瀬市は、非常に税理士が不足しているということになります。
3-1.不足している理由は東京23区に集中しているから
税理士が不足しているのは清瀬市に限ったことではなく、多摩地区全域にいえることです。
東京都には全国の3割にもなる税理士がいると解説しましたが、実はその9割は東京23区に所属しており、残りの1割を広い多摩地区で分け合っている状況にあります。
そのため、当然に多摩地区では税理士不足になってしまうのです。
しかし、東京都は狭く、交通網が発達していることから、大きな心配はいりません。むしろ、複雑な相続税申告が多い東京都の税理士に依頼できることはラッキーです。
3-2.近場で探したい場合には武蔵野市
まず、清瀬市内の税理士に限定して探すことはおすすめしません。わずか31人では、あまりに選択肢が少ないからです。
東京23区まではどうしても出にくいという人は、多摩地区で最も相続税課税が多い武蔵野市が良いでしょう。
武蔵野市には、吉祥寺をはじめとする有名な高級住宅街が多数所在しているエリアであり、都内の超富裕層が居住しています。
武蔵野市を管轄している武蔵野税務署の課税割合は23.74%と非常に高く、東村山税務署の12.98%と10%以上の差があります。
高額で複雑な相続税課税が頻繁に発生することから、相続税に強い税理士数も周辺の市よりも格段に多いと考えられ、その実力も東京23区の税理士に匹敵、もしくは超えている税理士も多いでしょう。
3-3.東京23区の税理士を候補に
武蔵野市も多摩地区であり、税理士が不足している状況は清瀬市と変わらないため、確実に相続税に強い税理士に依頼できる保証はありません。
できれば、東京23区の税理士を候補として探すことをおすすめします。その理由は、武蔵野市へ行くのと10、20分程度の差で、税理士の母体数が桁違いに多い東京都から、相続税に強い税理士を探すことができるからです。
ただ、むやみに最強の税理士に依頼すれば良いわけではありません。税理士報酬が高い可能性があるからです。
清瀬市で広大な畑を持つ農家をしているなど、相続財産が億を超える場合には、このような税理士に依頼すると良いでしょう。
【参考サイト】税理士登録者数 | 日本税理士会連合会、東京税理士会HP、東京税理士会東村山支部HP