板橋区の相続と税理士事情
東京都23区の北西部に位置し、埼玉県との県境にある板橋区。市街地や住宅地が多いため、高額な相続税が課される危険性のある地域です。それでは、相続や相続税の特性を地価や所得などから考えていきましょう。
1.板橋区の相続事情
東京都板橋区の相続税の申告件数は823件、実際に課税された件数は565件です。相続1件あたりの納付税額は約2,600万円、課税割合は11.74%となっています。
一方、東京都23区内の平均データでは、1件あたりの納付税額が約3,000万円、課税割合が16.78%で、板橋区の相続状況はどちらも平均を下回っている数字となっています。ただ、23区内は相続に関するデータの差が大きく、1件あたりの納付税額では1億円を超えている地域もあります。
実際、板橋区は、4,000万円以上の納付税額が課されている地域以外の中では中位に位置しており、1件あたりの納付税額がそこまで低くないことが分かります。つまり、一見すると平均を下回っていますが、高額な相続税額が課されているのです。
従って、板橋区は、23区の課税割合には当てはまらず、納付税額に比べて低い水準となっており、相続税が発生する割合は低いものの、相続税が課される場合は非常に高額な税金を納めなければいけないという特徴があります。
2.板橋区の地価事情
相続税額に大きな影響を与える地価。地価が高額になるほど相続税額も高額になるといわれているほどです。では、板橋区の地価にはどのような特徴があるのでしょうか?
2-1.代表的な地域と地価
2-1-1.板橋
区の名前にもなっている板橋地区。さまざまな意味を持っている汎用的な地名であるため、多くの場所で使用されています。区内では地名の他、板橋駅周辺を表しており、板橋区の中心部となっている地域でもあります。
実は、この板橋地区は区の南東部に位置しており、文京区との区境に位置しています。そのため、板橋駅は区内の駅では最南端、最東端にある駅です。特に、板橋駅を挟んで分かれてれているので、板橋区のメインエリアでありながら文京区のほうが近いという特殊な構造となっています。
板橋地区の地価平均は約66万円です。さらに、周辺地域である下板橋周辺は約70万円、新板橋駅周辺が約57万円となっています。ただ、下板橋や新板橋は板橋駅周辺にある地域のため重なる部分が多く、一体として考えても問題ありません。
それゆえ、この板橋駅周辺地域が最も地価の高額な地域となります。また、この地域は商業施設なども多いですが、住宅のほうが多く建設されています。つまり、中心地であり市街地でありながら住宅地でもあるため、相続税にはより敏感になっておく必要があります。
2-1-2.大山町
板橋地区の西部に位置している大山町。板橋駅から簡単にアクセス可能なことから、大山駅周辺は飲食店やビルなどが多く建設されており、広く発展している地域です。特に、駅南側にはハッピーロード大山、北側には遊座大山商店街という2つの商店街が形成されており、1日に多くの方々利用しています。
また、板橋区の主要施設である都税事務所や板橋税務署、板橋区役所なども大山駅周辺にあるため、区民なら訪れる機会が多い地域でもあります。特に、東京都健康長寿医療センターや日本大学医学部附属板橋病院などの大型医療施設も建設されており、他区から訪れる方も多いといわれています。
大山町の地価平均は約59万円で、区内では2番目に高額な地域となります。大山駅周辺に主要施設が多いことから、1日に多くの方が利用しており、2016年のデータでは1日平均約5万人が利用しています。実は、この数字は板橋駅よりも多く、板橋区の中では特に重要な地域として位置づけられています。
また、板橋地区と同じように大山にはい大山東町、大山金井町、大山西町といった地域があります。どの地域も大山町と隣接しており、こちらも同様に地価が高額な地域となっています。ただ、駅周辺は市街化されていても、周辺以外の地域では住宅地が広がっており、地価が高額な地域にも住宅が多く建っています。
2-2.板橋区の地価の特徴
板橋区の地価平均は約45万円で、23区内で19番目というそこまで高額な地域ではありません。板橋区に拠点を置く企業もあるのですが、基本的には住宅地として活用されています。そして、市街地化が進んでいますが、それは駅周辺の限られた地域です。
そのため、商業施設などの出店も少なく需要が伸びにくいため、他区に比べると地価が上がりづらいのかもしれません。ただ、板橋区の地価はここ数年上昇傾向が見られており、2016年から2017年にかけて2.83%も伸びています。
一時期は大きく落ち込んでいた時期もあるのですが、現在では少しずつ持ち直しています。特に、特定の地域だけでなくほぼ全域で地価の上昇が見られるため、地価が低かった地域の方も油断はできません。
また、住宅地が多いということは、同時に相続が起きる可能性が高い地域であることも意味しています。他区に比べて地価が安いため油断しがちですが、板橋区は相続税が発生するとその税額は非常に高額です。万が一の場合を考えて、適切な相続税対策を行いましょう。
3.板橋区の所得と富裕層
板橋区の所得税の納税義務者数は約28万人、課税対象所得は約9,900億円です。1人あたりの所得では約350万円となります。この金額は23区内では22番目の数字となっており、東京都全体では39番目の高さです。
つまり、板橋区の所得はそこまで高額ではありません。ただ、全国約1,700ある自治体の中では106位で、上位10%に含まれています。そのため、東京都内で考えると見落としがちですが、実際に板橋区で生活している方は富裕層が多いといえるのです。
また、世帯年収の割合を比較してみると、500万円までの世帯が約58%と半数以上を占めています。その内訳を見て見ると、300万円未満の世帯が約34%、300~500万円の世帯が約24%です。所得が多い世帯ほど相続税が課されやすいと考えると、約70%の方が相続税対策が必要といえます。
特に、板橋区は駅周辺の地価が高額な場所でも住宅地が形成されています。所得が少なくても地価に寄って相続遺産の価値が上昇する可能性もあります。ですので、きちんと相続税について考え、早めに対策を講じる必要があるのです。
4.板橋区の税理士事情
板橋区に在籍している税理士は420名。板橋区の1年間の課税件数が565件であるため、やや不足しているように見えますが、実際に依頼できずに困ることは少ないでしょう。基本的にはいつでも相続についての依頼ができると思います。
ただ、それはどこの税理士でも良い場合です。相続税について考える場合、相続する資産や地価などを正しく算定しなければいけません。特に、土地や不動産は購入金額が高額だからこそ、きちんと評価をしないと余計な税金が発生する場合があります。
そのため、税理士が多い場合でも、相続に強い税理士を探すことが必須となります。具体的には、相続の対応件数や実績が多いこと、不動産鑑定士や弁護士と連携しているなど、さまざまな場面に対応できる体制が整っているところほど相続に強い税理士といえます。
また、担当する税理士との相性も重要です。あなたの意見や考えにそぐわないと、あなたの希望する節税効果が得られないことがあるからです。ですので、無料相談などを活用しながら、相続に強くあなたが信頼できる税理士を探して、相続税へしっかりと備えておきましょう。
【参考】板橋区内の相続関連機関一覧
板橋区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年1月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
板橋税務署 | 〒173-8530 東京都板橋区大山東町35番1号 | 03-3962-4151 |
東京都板橋都税事務所 | 〒173-8510 東京都板橋区大山東町44-8 | 03-3963-2111 (代表) |
板橋区役所 | 〒173-8501 東京都板橋区板橋二丁目66番1号 | 03-3964-1111 (代表) |
東京法務局 板橋出張所 | 〒173-0004 東京都板橋区板橋1-44-6 | 03-3964-5385 (代表) |
板橋公証役場 | 〒173-0004 東京都板橋区板橋2-67-8 板橋中央ビル9階 | 03-3961-1166 |
東京家庭裁判所 | 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 | 案件による HP参照 |
東京司法書士会 板橋支部 | 〒173-0022 東京都板橋区仲町37番2号 カワヒトビル2F | 03-3955-1280 |
東京弁護士会 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館6階 | 03-3581-2201 (代表) |