1.朝霞市の相続事情
埼玉県の南東部にある朝霞市、志木市、和光市、新座市の4つの市は朝霞税務署の管轄となっており、全ての市のデータが合計された数字が発表されています。平成30年度のデータでは、朝霞エリアの相続税申告件数は441件、課税件数が336件です。
相続1件あたりの納付税額は約2,736万円、課税割合が10.78%となっています。埼玉県の平均データによると1件あたりの納付税額は約1,954万円、課税割合が9.83%です。この平均データと比較すると、朝霞エリアの1件あたりの納付税額と課税割合、どちらも平均を大きく上回る数字となっています。
また、他の地域と比較してみると、1件あたりの納付税額は3位、課税割合が4位と非常に高い順位でもあります。つまり、朝霞エリアでは高額な相続税が課税されやすいという特徴が現れています。ですので、朝霞エリアで生活している人は相続税への対策を講じ、しっかりと備えておくことが必要です。
2.朝露市の地価事情
埼玉県の南東部に位置し、東京都との県境となっている朝霞市。県庁所在地であるさいたま市とも隣接しており、主要地域と密接な関係がある市です。ただ、朝霞市から直接移動できる道路は少なく、隣接都市を経由しての移動となるため、少し手間がかかることがデメリットだと考えられています。
朝霞市の地価平均は約25万5,700円、最も地価が高額なのは北朝霞駅、朝霞台駅周辺で約28万円となっています。朝霞市には2つの鉄道路線が走っていますが、2線が乗り入れる駅がありません。そのため、隣接し簡単に乗り換えられる北朝霞駅と朝霞台駅に需要が集まり、その結果周辺地域の地価が高くなっています。
特に、埼玉県の主要部へは朝霞台駅での乗り換えが必要なため、より需要が高まっているといえるでしょう。また、朝霞市は主に住宅地として使用されており、商業施設などが集まる繁華街が駅周辺のみに集中していることも町の特徴の1つといえます。
そして、朝霞市にはもう1つの鉄道駅である朝霞駅が建設されています。地価平均では北朝霞駅周辺に劣るものの、その差は6,000円程度しかありません。そのため、近隣の主要部へ直接移動できる鉄道の需要は高くなっており、その周辺はどこも地価が高騰していると考えられます。
3.朝霞エリアの所得と富裕層
次は、朝霞エリアの所得状況から相続税との関わりを考えていきます。
自治体名 | 所得税の納税義務者数 | 課税対象所得 | 1人あたりの所得 |
---|---|---|---|
朝霞市 | 約6万7,300人 | 約2,420億円 | 約359万円 |
志木市 | 約3万5,400人 | 約1,280億円 | 約361万円 |
和光市 | 約4万2,500人 | 約1,590億円 | 約374万円 |
新座市 | 約7万5,900人 | 約2,550億円 | 約335万円 |
朝霞エリアの各市の所得状況は上記のようになり、和光市、志木市、朝霞市、新座市という順になっています。この順位は地価と同じ順になっており、地価の高い地域に高所得者も集まりやすいことが分かります。
また、それぞれの所得を県内で比較すると、和光市、志木市、朝霞市が2位、3位、4位となり、新座市が10位となっています。新座市だけ比較的低い金額なのですが、それでも全てが10位以内にランクインしており、どの市も高い所得を受け取っていることが分かります。
そのため、地価と合わせて考えると全てのエリアで富裕層は多いのですが、特に和光市や志木市には富裕層の割合が多いといえるでしょう。つまり、朝霞エリアが高額な相続税が課税されておりその割合が多いのは、地価と所得、この両方が県内で上位に位置するほど高額であるからです。
また、朝霞エリアは独自の産業が大きく発展していないことからも、この高い所得がベッドタウンとしての機能によって維持されていることが分かります。ですので、今後ベッドタウンとしての人気が高くなれば地域の所得も上昇する可能性が高く、相続税への備えを十分に行っておきましょう。
4.朝霞エリアの税理士事情
高額な相続税が課税されやすい朝霞エリアでは、税理士による相続税対策が非常に重要な地域です。そこで、最後に朝霞エリアに在籍している税理士の状況などを確かめていきましょう。
自治体名 | 在籍税理士数 |
---|---|
朝霞市 | 51名 |
志木市 | 29名 |
和光市 | 21名 |
新座市 | 40名 |
朝霞エリアに在籍している税理士は、合計で141名です。1年間の相続税申告件数は441件、課税件数が336件ですので、やや不足しているといえるでしょう。さらに、市別に見てみると、朝霞市と新座市に多く在籍していることが分かります。
そのため、必要なときに確実に依頼できるよう早めに税理士探しを行い、信頼できる税理士を見つけておくことが大切です。朝霞エリアの税理士が少ない背景には、ベッドタウンとして機能が関係している考えられます。
朝霞エリアはさいたま市のベッドタウンであり、手軽にアクセスができます。つまり、さいたま市に在籍している税理士が朝霞エリアの相続などにも対応しているため、朝霞エリアに事務所を構えることが少なくなっているのです。
ですので、税理士を探す際には、地元の税理士だけでなくさいたま市など隣接している市も対象に行うことが良いでしょう。特に、相続を多く取り扱い相続税に強い税理士となるとその数はグッと少なくなります。1円でも多くの遺産を相続するためにも、実力のある税理士を見つけることに力を入れ、的確な対策を行いましょう。