1.小平市の相続税申告の特徴
小平市は東京都の多摩地区、武蔵野台地にあり、東京都のほぼ真ん中に位置しています。内陸になるため、立川市や西東京市、小金井市など7市に囲まれています。
都心から約26キロメートル圏内にあることから、戦後にベッドタウンとして発展してきました。
都市農業が盛んで農地や緑地が多く、都心に比べると住宅面積を広くとることができるため、ゆったりとした都市生活が叶うエリアになります。
また、複数の有名学校を有する学園都市でもあることから20代の若者人口が多く、街に活気があります。
今回は、そんな小平市の相続税申告について詳しく解説していきます。
1-1.小平市の相続税申告状況
令和元年の相続税申告状況のデータによると、小平市を管轄している東村山税務署、東京都、全国における相続税の申告状況は次の通りです。
申告割合 | 課税割合 | 相続1件当 納付税額 | |
---|---|---|---|
東村山税務署 管轄エリア | 17.87% | 12.98% | 2,510万円 |
東京都平均 | 22.56% | 16.25% | 3,029万円 |
全国平均 | 10.71% | 8.35% | 1,714万円 |
東村山税務署の数値は、全国以上、東京都以下となっています。
ただ、「全国平均を少し超えるくらいなら、相続税は気にしなくて良い?」と思ってはいけません。
全国の数値は確かに東京都に比べて格段に低くなっていますが、これは東京都の圧倒的な数値が底上げしているための結果である点に注意しなければなりません。
その証拠に、課税割合の全国2位は愛知県で13.93%となっています。東村山税務署の課税割合は12.98%であり、全国順位に当てはめるとすると3位の位置にあたるのです。
日本全国からすると小平市は、相続税課税の要注意エリアということになります。
※東村山税務署は小平市、東村山市、清瀬市、東久留米市、西東京市を管轄しており、相続税申告状況の数値は、これら5市の平均値になります。
2.小平市の特徴
小平市は、面積20.51平方キロメートル、人口195,340人(令和4年2月1日現在)の都市です。
市内にはJR武蔵野線が南北に走り、西武新宿線、拝島線、国分寺線、多摩湖線の5路線と、7つの駅があり、交通アクセスに優れています。
市をぐるっと一周する「小平グリーンロード」は、21キロメートルもある散歩道として、市民の健康づくりに親しまれています。
それでは小平市の特徴と、それが相続税課税へどのように影響しているのかを見ていきましょう。
2-1.交通アクセスが良く人口密度が低い街
小金井市は、都心のベッドタウンとして機能している街です。
市内には縦横に路線が走り、7つの駅が点在しています。
中心となる駅は、西武新宿線と拝島線の乗り入れている小平駅で、新宿まで乗り換えなしで30分程度、東京駅までは乗り換え1回で50分程度となっています。
ただ、西側と東側南部には駅がないことから、車が必要なエリアもあります。
小金井公園や玉川上水など豊かな自然が昔のままに残されている場所も多く、また地価の関係などから、都心よりも自宅の敷地面積を広くとることができるため人口密度が低くなり、穏やかな雰囲気の住宅街が広がっています。
2-2.有名な学園都市
小平市には大正時代から、学園都市をつくろうという構想がありました。
現在では嘉悦大学、白梅学園大学、白梅学園短期大学、津田塾大学、一橋大学、文化学園大学の6大学が誘致され、1万人を超える学生が通っています。
この他、公立私立小中学校や高校、専門学校なども多数あることから、地域一帯が治安維持に努めており、警察の巡回も頻繁に行われているという特徴があります。
若者が多い街となると、どうしても騒がしいイメージが付いてまわりますが、小平市の場合には繁華街などがないことから、夜間の騒音もなく静かに暮らせる環境が整っています。
教育への関心が高い親は、学校を基準にして居住地を決めることがあるようです。子供によりよい教育環境を与えるために、小学校の学区を重視して引っ越す人たちのことを「公立小移民」と呼ぶ言葉まであるほどです。「公立小移民」ができるような人たちは高所得者世帯であることがほとんどです。
したがって、都心から近く、学園都市である小平市も、高所得者世帯の選択肢に入ることが多いと考えられます。
2-3.都市農業・工業も盛ん
小平市はベッドタウンとしてだけではなく、都市農業や工業も盛んに行われています。
個人で事業を行っている場合には、事業主の死亡によりその事業財産が相続財産になる点に注意しなければなりません。
小平市の農業
ブルーベリーは昭和43年に小平市が初めて農産物として栽培しました。現在でも生産は盛んで、摘み取り体験ができる農家もあります。
特に都市農業の場合には、農地であっても地価が高く、さらに広いことから土地の評価額が思いがけない金額になるケースがあります。生前の試算が非常に重要です。
小平市の工業
工業では、「第一屋製パン㈱」をはじめとして、ブラックサンダーの「有楽製菓㈱」、半導体の「ルネサスエンジニアリングサービス㈱」など全国的な有名企業が、小平市に工場や事業所を構えています。
被相続人が大企業にお勤めの場合には、一般的なサラリーマンよりも多くの給与収入を得ていることが多く、相続税が課税される可能性が上がります。
2-4.小金井市の地価は全域が高い
小平市の平均地価は、1㎡あたり24万9,421円で、東京都全59位中34位の金額となっています。真ん中より若干下位という位置でになります。
多摩地区のこのあたりのエリアは、1㎡あたり20万円台の市が多く、都内42位でも20万円という結果になっており、都内では低い地価ということになります。
東村山税務署の同管轄エリア5市の中で、小平市の地価は2位となっています。1位は西東京市で、小平市とは1㎡あたり10万円近く差があることから、東村山税務署の管轄内で主に相続税の課税率が高いのは西東京市であると考えて良いでしょう。
小平市で最も地価が高いエリア
市内で最も地価が高いエリアは、国分寺市に近い国分寺駅周辺で1㎡あたり47万円となっています。
国分寺駅北口では、再開発事業が積極的に行われており、2018年にはツインタワービルが完成、現在も周辺工事が進められていることから、小平市でも国分寺駅に近いエリアは影響を受けています。
小平市で最も地価が低いエリア
最も地価が低いエリアは、市の東部に位置する東大和市駅周辺で、1㎡あたり20万円となっています。
小平市の地価は、国分寺駅周辺の高い地価が突出しており、その他はすべてのエリアで20万円台となっています。
1㎡あたり20万円をいうことを最下位で聞くと低く感じるかもしれませんが、40坪の宅地で2,670万円程になるということです。新築戸建てとなると5,000万円を余裕で超える地価であり、決して訳ありません。むしろ全国的に見ると高級です。
よって、小平市はどこに住んでいても相続税が課税される可能性があり、さらにマイホームを所有している方は、収入が高いことが多いため、相続税についての対策が一層必要になります。
3.小平市の税理士情報
全国の税理士数は80,011人(令和4年1月末日時点)、その3割にあたる23,809人が東京都にいます。
そしてそのうち、小平市に所属している税理士は90人(令和4年2月14日時点)です。
一方で、小平市を管轄する東京税理士会東村山支部は、東村山税務署の管轄と同じ5市をカバーしており、この5市を合わせた税理士数は約400人となっています。
東村山税務署の令和元年相続税申告数1,250件、税理士数を400人とした場合の税理士1人あたりの相続税申告数は0.32件となり、東京都全体の0.76件の半分以下になります。
全国的には、相続税申告は税理士1人あたり年間1件あるかないかといわれていることから、この数値からは、東京都の相続税申告の多さと、税理士の不足状況が垣間見えます。
それでは、東京都の平均以上に税理士の少ない小平市では、どのように税理士を探せば良いのでしょうか。
3-1.小金井市だけでなく武蔵野市の税理士から
東村山税務署の課税割合12.98%も全国的に見ると高くはありますが、お隣にある武蔵野税務署の課税割合23.74%と比べると、10%以上の差があります。
その理由は、武蔵野市の存在です。武蔵野市には吉祥寺をはじめとする有名な高級住宅街が多数所在しているエリアであり、都内の富裕層が居住しています。
高額では、相続税課税の申告が頻繁に発生することから、相続税に強い税理士数も周辺の市より多いと考えられます。小平市だけではなく、お隣の武蔵野市で探した方が効率的でしょう。
3-3.次に東京23区内の税理士
武蔵野市も税理士が不足しているエリアであるため、確実に依頼できるという保証はありません。
そこで、東京23区の税理士も並行して探すと良いでしょう。
東京23区には有名な高級住宅街が多数あり、他地区では想像ができないほどの超富裕層が居住しています。当然、その人達を顧客とするために多くの税理士も集まることになり、東京23区にはなんと東京都の税理士の約9割が所属しています。
税理士の母体数が桁違いに増える点が、東京23区の最大のメリットといえるでしょう。
【参考サイト】「税理士登録者数」 | 日本税理士会連合会、東京税理士会 HP、東京税理士会東村山支部HP