葛飾区の相続と税理士事情
漫画や映画などさまざまな物語の舞台にもなっている葛飾区。東京都23区内でも下町文化が特徴的な地域として、全国的に知られている区でもあります。古き良き文化が人気の葛飾区ではどのような相続税の特徴が現れているのか、地価や所得などから検討していきましょう。
1.葛飾区の相続事情
葛飾区の1年間の相続税申告件数は527件、実際に課税された件数は530件です。相続1件あたりの納付税額は約2,100万円、課税割合は8.86%になっています。東京都23区内の相続税に関する平均データを算出すると、1件あたりの納付税額は約3,000万円、課税割合は16.78%です。
葛飾区の相続データとこの平均データを比較してみると、1件あたりの納付税額、課税割合ともに平均を大きく下回っていることが分かります。実は、課税割合が10%を下回っているところは23区内で5ヶ所しかなく、中でも葛飾区の割合は下から2番目と非常に低い数字なのです。
ですので、高額な相続税が課税されることはあるが、その割合は低いというのが葛飾区の相続の特徴といえるでしょう。ただ、このデータの前年度の平均課税割合は9%台でしたので、葛飾区の割合が極端に低い数字なのではなく、23区内全体の課税割合が大きく伸びたため相対的に低く見えてしまっているのです。
そのため、葛飾区でもきちんと相続税への対策を講じておく必要があり、対策の有無で納める課税額に大きな違いが現れる可能性が高いといえるのです。
2.葛飾区の地価事情
葛飾区の相続の特徴を、相続税が課されるメインの資産である土地から考えてみましょう。
2-1.葛飾区の代表的な地域と地価
2-1-1.亀有
葛飾区の北部にあり、人気漫画の舞台にもなっている亀有。漫画の影響は大きく葛飾区=亀有とイメージする人は全国に多くいるでしょう。亀有はもともと工場が多く並ぶ工業地域でしたが、現在では亀有駅を中心とした商店街とそれに伴う住宅が多く建設された、閑静な住宅街が形成されています。
特に、亀有駅周辺は約20年もの間行われた再開発によって、1996年に南口には商業ビルやマンションを内包するリリオ商店街が開業しました。さらに、2006年にアリオ亀有という大型商業施設が開業し、より多くの人が訪れる人気スポットになっています。
亀有の地価平均は約35万円で、区内でもトップクラスの価格になっています。南北で比べてみると、大規模な再開発が行われた南部のほうが地価が高額になっています。ただ、南北ともに値下がり率は低く、住宅街出会っても30万円前後の地価をキープしています。
そのため、亀有駅周辺の繁華街を離れていても安心することはできません。むしろ、相続は住宅街を中心にして発生しますので、住宅街としては高額な地価である亀有では相続税への対策が急務となっているでしょう。
2-1-2.高砂
葛飾区の中央部、中川と新中川の分流地点の東岸に位置している高砂。高砂の東部には鋭意が出全国的に人気を集めた柴又があり、今でも全国から観光客が集まる地域です。高砂には、京成高砂駅を中心とした繁華街が形成されていますが、基本的には住宅地として利用されている地域です。
高砂の地価平均は約31万円で、駅周辺の地価が最も高額になっています。駅周辺には大型マンションなども建設されていますが、同時に一軒家なども多く建てられています。そのため、駅周辺でも住宅地の様相が強く現れており、繁華街ではなく市街地化しています。
また、こうした町の特徴からか、駅から離れても地価の減少率は低く、ほぼ平均並みの地価を記録している地域が広がっています。ですので、京成高砂駅に近いかどうかが地価の高低を見極めるポイントではありますが、離れていても相続税への安心ができない地域といえます。
加えて、高砂は川だけでなく高砂北公園を始めとした公園が多く整備されているため、緑や自然に触れ合える地域でもあります。こうした自然豊かな立地は子育てにもよく、地価が低いことが一軒家を持つ=高砂というイメージが強くなっており、実際に建設を予定している世帯も増えつつあります。
2-1-3.金町
葛飾区の北西部に位置している金町。もともと金町村や旧区画での金町といった町名で表示されていたため、現在の金町と東金町を合わせた地域全体を金町と呼ぶ場合もあります。一方で、地名の由来などが残っていないのですが、700年以上前から金町という地名が使われており、歴史ある地域としても知られています。
金町は主に住宅や商業施設が密集した市街地化が進んでいますが、大半は住宅地として活用されています。一方で、金町駅の南側では再開発が行われており、2009年には商業店舗や図書館などが入った複合ビルであるヴィナシス金町が完成し、以前よりも大きな賑わいを見せています。
金町の地価平均は約31万円と、葛飾区の中で地価が低い地域です。ただ、葛飾区の中では30万円前後の地価を示している地域が7地点ありますので、金町の地価が際立って低いわけではありません。
また、金町は駅を挟んで南側が金町、北側が東金町となっています。駅の南部では確かに再開発が行われているものの、北側の方が繁華街としては大きく発展しています。ですので、東金町の方が比較的地価は高額になっており、南北で最大20万円程度の差が現れています。
2-2.葛飾区の地価の特徴
葛飾区全体の地価平均は約34万円で、23区内では最下位の価格になっています。この背景にあるのは、ほぼ全域が住宅地として活用されていること、川に囲まれた独特な地形が土地利用に制限をかけてしまっていることなどが考えられます。
また、区内の地価を比べてみると、亀有や立石といった地域の地価は高額なのですが、一方で小岩井や足立区の綾瀬など、都心部に近い区境の地域の地価が高額化しています。ですので、葛飾区の内部になるほど地価が減少する傾向にあります。
ただ、新小岩や亀有からは東京都心部のオフィス街へのアクセスが非常に手軽で、かつ23区内でも地価が安い地域です。こうした要因から、23区内にある東京都のベッドタウンとして近年注目され、実際に葛飾区へ移住する都民も増えています。
そのため、葛飾区の全域で地価の上昇が見られています。今後ベッドタウンとしての人気が高くなればより土地の需要が増え、地価も上昇していくでしょう。すると、これから一軒家を購入する世帯でも相続税が課税される可能性が高くなりますので、今後はより相続税への対策が重要になると考えられます。
3.葛飾区の所得と富裕層
土地と同じく相続税の課税対象となり、その課税額が高額になりやすいのが所得です。そこで、葛飾区の所得の状況からも相続の特徴を考えていきましょう。
葛飾区の2016年の所得税納税義務者数は約21万5,600人、課税対象所得は7,380億円です。1人あたりの所得を計算すると約342万になります。この葛飾区の所得は都内の62ある自治体の中で42位とそこまで高額な金額ではありません。2017年の所得でも約343万円で43位ですので、そこまで大きな変化が無く、都内の中では少し所得が低い地域といえるでしょう。
一方で、全国の1,000以上ある自治体の中では、2016年の所得は146位、2017年の所得では151位と上位をキープしています。ですので、全国的に見れば葛飾区では富裕層が多く生活していると考えられるのです。加えて、世帯年収が500万円~1,000万円の割合は全国平均よりも上回っていることもあり、葛飾区には高所得者が比較的多いといえるでしょう。
地価と合わせ考えると、地価も所得も都内では低い水準であるものの、全国的に見れば高額であるというのが葛飾区の特徴として挙げられます。そして、これが都内平均の課税割合よりも大きく下回っているが、課税額は高い水準をキープしているという相続の特徴にも繋がっていのです。
4.葛飾区の税理士事情
徐々に地価や所得の上昇が見られている葛飾区では、今後相続税対策が非常に重要な意味を持ち始めます。そこで、葛飾区に在籍している税理士数などから、相続税対策には欠かせない税理士の現状を確かめていきましょう。
葛飾区の在籍税理士数は325名です。葛飾区の1年間の相続税申告件数が527件、課税件数が352件であることから、依頼ができないような不測の事態に陥ることはないでしょう。ですので、日頃からしっかりと税理士探しを行なっておけば、きちんとした対策を講じることができます。
一方で、葛飾区では人口の増加が見られていますが、同程度の税理士の増加が行われるかは不明です。このまま葛飾区の人気が高くなれば将来的に依頼数が増加し、税理士が不足する可能性があります。今後はいち早く税理士をいくつか探しておき、いつでも依頼できるような準備が重要となるでしょう。
また、葛飾区で生活している人の多くは都心部へ通勤していることが分かっています。そのため、平日の空いた時間などを活用して都心部の税理士へ相談したり、料金などを調べたりすることも選択肢に入れておきましょう。地元の税理士は地価などに敏感に反応でき、都心部の税理士は実績や経験が豊富という特徴があります。無料相談などを活用し、可能な限り多くの税理士の情報を集めて、心から信頼できる相続の強い税理士を見つけましょう。
【参考】葛飾区内の相続関連機関一覧
葛飾区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2018年4月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
葛飾税務署 | 〒124-8560 東京都葛飾区立石8丁目31番6号 | 03-3691-0941 (代表) |
葛飾税事務所 | 〒124-8520 東京都葛飾区立石5-13-1 葛飾区総合庁舎内 | 03‐3697‐7511 (代表) |
葛飾区役所 | 〒124-8555 東京都葛飾区立石5-13-1 | 03-3695-1111 (代表) |
東京法務局 城北出張所 | 〒124-8502 東京都葛飾区小菅4丁目20番24号 | 03-3603-4305 (代表) |
葛飾公証役場 | 〒125-0062 東京都葛飾区青戸六丁目1番1号 朝日生命葛飾ビル2階 | 03-6662-9631 |
東京家庭裁判所 | 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 | 案件により異なる HP参照 |
東京司法書士会 城北支部 | 〒120-0026 東京都足立区千住旭町19番10号 | 03-3353-9191 (東京司法書士会) |
東京弁護士会 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館6階 | 03-3581-2201 (代表) |
第一東京弁護士会 | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館11~13階 | 03-3595-8585 (代表) |
第二東京弁護士会 ひまわり | 〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館9階 | 03-3581-2255 (代表) |