大田区の相続と税理士事情
東京都の南部に位置し、23区の最南端にある大田区。羽田空港がある区としても有名です。では、日本の空の交通網で重要な拠点となっている大田区では、相続にどのような翌朝があるのでしょうか?
1.大田区の相続の特徴
東京都大田区の相続税の申告件数は1,374件、実際に課税されたのが980件です。課税割合は15.57%、相続1件辺りの納付税額は約2,200万円となっています。
このデータを23区の他の区と比べてみると、課税割合が平均程度、1件あたりの納付税額は平均よりもやや低いという特徴があります。ただ、課税件数は23区内では3番目に多い件数でもあります。
これは、大田区は23区内でも人口が非常に多いため、課税件数が多いものの割合にすると少なくなってしまうのです。また、人口が同程度の練馬区とは相続税の状況は似ていますが、課税割合、1件あたりの納付税額は下回っています。
つまり、人口が多い分見かけの数字は多くなりますが、実際にはほぼ平均的な相続税が課される。これが、大田区の相続の特徴といえるでしょう。
2.大田区の地価の特徴
続いては、相続税の税額に大きく関係している地価について見ていきましょう。
2-1.蒲田
大田区で最も有名といっても過言ではない地域が蒲田です。JRや京急の鉄道駅を中心にした地域なのですが、この2つの駅は約800mという長い距離が開いています。しかし、この2つの駅を結ぶかのようにオフィスビルや商業施設が立ち並んでおり、広大な商業地が形成されています。
また、駅周辺の商業地を過ぎると、高校や大学など学校が多く建てられており、公園など緑地が多いことも蒲田の特徴的な部分です。さらに、教育機関だけでなく、医療機関も多いため、1つの地域の中にさまざまな分野の施設が多いことも、この地域の特色です。
蒲田の地価平均は約82万円となっており、大田区の中で最も高額な地価となっています。JR蒲田駅を中心に地価が高額になっていますが、京急蒲田駅がある駅の東側地域は、JRは蒲田駅から離れていてもあまり地価が下がっていません。
一方で、西側の地域は駅から離れるごとに地価が下がっていき、同じ距離の東側に地域と比べると落差が大きくなっています。平均程度~半額ほど値下がりが起きていることもあり、地価の地域差が大きくなっているのも特徴です。
2-2.田園調布
蒲田駅から大きく離れた場所にある田園調布。この地域も、全国的に有名です。なぜ、この地域の知名度が大きいのかというと、それは全国でも有数の高級住宅街だからです。
田園調布の地価平均は約62万円と、蒲田よりは低いですが、田園調布のほとんどは住宅地として利用されています。商業施設やオフィスビルがなどが建設されておらず、新しく建てられることがないにもかかわらず、これだけの高額な地価を維持しているのです。
田園調布は、もともと理想的な住宅地を作るために開発が行われた地域で、低層の住宅と豊かな緑にあふれた理想の住宅地が実現されています。特に、イギリスで良いとされた都市構想をモデルにしているため、ヨーロッパのようなデザインの特徴が取り入れられています。
また、田園調布駅と多摩川駅、代表的な利便性の高い駅が2つもあることも、田園調布が優れた居住環境に拍車をかけています。現代でもオシャレな街並みと豊かな緑、理想の居住環境と交通アクセスの利便性が相まって地価が高額化し、高級住宅街となっているのです。
2-3.大森
大田区の北東部に位置し、大森駅の周辺の地域を指す大森。駅周辺には多くの商業施設が建設され、この地域の商業の中心地となっています。商業地を離れると住宅街が広がっており、どちらかというと商業地よりも住宅地として利用されていることが多い地域です。
また、隣接している品川区とは距離が近く、大森駅が実は品川区にあります。そのため、大森というと品川区南大井も含まれることがあり、地域としては区境を超えて広がっています。
大森の地価平均は約77万円と、知名度が高いとはいえない地域にもかかわらず、意外に地価が高額です。もともと大田区は、蒲田と大森、2つの自治体が合併してできた区であるため、この2つの地域は今でも大田区の経済などの中心地となっているのです。
ただ、地域として大森を考えると、昔の自治体の名残から範囲が非常に広がります。その結果、駅周辺と郊外の地域では倍以上の価格差が地価に現れています。田園調布のように高級住宅街とはならないのは、こうしたことが原因かもしれません。
2-4.大田区の地価の分布や動向
それでは、地価の高い地域、低い地域、それぞれの特徴を見てみましょう。
大田区で地価が高い地域は、今回解説した蒲田、大森、田園調布などの地域です。これらの地域は、大田区の中でも特別な意味を持つ地域で、それぞれが特徴的な発展を行っています。ですが、発展の方向性が異なっているため、地価が高額化する理由は少し分かりにくくなっています。
一方で、地価の低い地域は埋立地やその周辺の地域となっています。大田区は元ある土地に加えて、東京湾を埋め立てながら面積を広げて来ており、こうした地域の地価はそこまで高くありません。
また、大田区はここ数年全体で地価が上がっており、ほぼ全域で地価が上昇しています。ただ、地価の高い蒲田や大森の地価は下落傾向にあります。特に、大森は大きく上昇する年はあるものの、ここ数年は常に前年と比べて下落している傾向があります。
そして、大田区は商業地と住宅地が地域ごとに分かれていません。商業地として発展しているところには、ほぼ広い住宅地が整備されています。どの地域も生活の拠点となっており、どこでも相続が発生する可能性が高くなっているので、地価の動向は見逃せないデータとなっています。
3.大田区の所得から考える富裕層
続いては、所得の状況から大田区の金銭的な事情、富裕層の動向などを調べてみましょう。
大田区の所得税の納税義務者数は約38万人、課税対象所得は約1兆6,000億円となっています。一人あたりの課税所得へと計算すると約420万円です。この数字は、23区内では13番目の所得金額となっており、中位の金額で特別高額な金額ではありません。
また、23区外の市町村を含めた場合では、東京都で18番目の所得となっているため、こちらの場合では中位よりもやや高額である程度の所得です。目立って高額な所得を受け取っているとはいえません。
しかし、全国の自治体での所得と比較すると、大田区の所得は30番目に多い金額です。全国の自治体は1,700ヶ所あり、その中の30番目です。つまり、東京都の中ではそこまで多くない金額でも全国的に見れば十分に高く、地域全体を通して富裕層が多い地域といえるでしょう。
4.大田区の税理士事情
地価や所得が高額であるほど、相続する遺産は高くなり、納める所得税も高額化します。大田区は東京都内ではどちらも平均的な金額ですが、全国的に見れば両方とも高額で、節税対策が欠かせない地域です。
相続税の節税対策に欠かせないのが税理士の存在です。地価の鑑定や遺産分配の方法など、税理士に依頼するだけでも節税効果が高い対策が講じられるのです。
大田区に在籍している税理士数は575人です。23区内では13番目に多い数字となっており、特別多いわけではありませんが、不足しているとはいえません。
ただ、注意したいのが隣接している地域の税理士の状況です。隣接している江東区や目黒区は大田区よりも在籍税理数が少なく、やや不足しているため、こうした地域からの重要が高まる可能性があります。
大田区内の人が誰も依頼できないということはありませんが、相続税に強い税理士は取り合いになることが予想されています。確実に実力のある税理士に依頼した場合は、一足早く税理士探し、早急に対策を始めましょう。
【参考】大田区内の相続関連機関一覧
大田区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2017年9月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
蒲田税務署 | 〒144-8556 東京都大田区蒲田本町2丁目1番22号 | 03-3732-5151 |
大田都税事務所 | 〒144-8511 東京都大田区西蒲田7-11-1 | 03-3733-2411 |
大田区役所 | 〒144-8621 東京都大田区蒲田五丁目13番14号 | 03-5744-1111(代表) |
東京法務局 城南出張所 | 〒146-8554 東京都大田区鵜の木2丁目9番15号 | 03-3750-6651(代表) |
蒲田公証役場 | 〒144-0051 東京都大田区西蒲田7-5-13 森ビル2階 | 03-3738-3329 |
東京家庭裁判所 | 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 | 案件により異なる HP参照 |
東京税理士会 大森支部 | 〒143-0024 東京都大田区中央7-4-5 | 03-3754-1811 |
東京税理士会 雪谷支部 | 〒145-0067 東京都大田区雪谷大塚町11-6 雪谷法人会館2階 | 03-3726-5701 |
東京税理士会 蒲田支部 | 〒144-0052 東京都大田区蒲田5-43-7 ロイヤルハイツ蒲田301号 | 03-3734-5556 |
東京司法書士会 太田支部 | 〒144-0052 東京都大田区蒲田5丁目45番5号 ドミール蒲田304 | 03-3735-6230 |
東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館6階 | 03-3581-2201 |
第一東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館11階~13階 | 03-3595-8585(代表) |
第二東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館9F | 03-3581-2255 |