多摩川の南側に位置し、東京都の中では3番目に人口が多い自治体である町田市。ベッドタウンとしての役割が発達する一方で、現代でも農業が盛んな地域です。リス園や薬師池公園など和むことのできる公園もたくさんあります。
では、町田市にはどのような相続の特徴があるのでしょうか?
1.町田市の相続事情
町田市の相続税の申告件数は666件、実際に課税された件数は482件です。相続1件あたりの納付税額は約1,600万円、課税割合は13.68%となっています。23区外の自治体の中では、下から3番目の1件あたりの納付税額で、課税件数も同様の順位です。
しかし、課税割合はそこまで低くなく、上から2番目の多さとなっています。実は、23区外の自治体では税務署の管轄が複数の自治体にまたがっており、1つの自治体となっているのは八王子市と町田市のみです。
つまり、単独での統計になるため課税件数などが低くなる傾向にありますが、課税割合は単一でも高くなっています。そのため、単一の自治体ごとに考えれば、23区外の中で町田市は相続税が発生しやすく、その税額も高額になりやすい地域であるといえます。
2.地価の特徴
住宅地としての土地利用が大半を占める町田市の地価には、どのような傾向があるのでしょうか?
2-1.代表的な地域と地価
2-1-1.町田(原町田)
町田市の商業の中心地となっているのが、町田地区です。JR町田駅周辺の地域を指しており、原町田や金森なども含まれ、高域な意味で町田地域と使われることもあります。
町田市は東京都23区のベッドタウンとして開発が行われており、その玄関口である駅周辺はより積極的に開発が行われてきました。その結果、百貨店や専門店が多く建設され、多くの人でにぎわう繁華街となりました。
また、町田市は大学や短大が多く建設されており、商業施設のにぎわいからか若者が多く集まるようになったのも特徴的です。さらに、若者が多く集まったことで若者をターゲットにしたお店も増え、より若者の街として発展を続けています。
町田地区の地価平均は約61万円です。少し低いように思えますが、商業施設が集まる駅周辺は200万円を超えるところもあり、高額化が進み町田市で最も地価が高額な地域です。
2-1-2.玉川学園
玉川学園は一見すると学校名のように思えますが、きちんとした住所にもなっています。この地域は、名前の通り玉川学園を中心として宅地開発が行われており、駅も誘致したといわれているほどの学園都市です。
玉川学園は幼稚園から大学まで一括教育を行う学校であるため、生活の拠点になりやすく、周囲には閑静な住宅街が広がっています。子供は玉川学園へ、大人は仕事のために都心部へ、という行動の住み分けが行われているのかもしれません。
玉川学園の地価平均は約18万円です。商業施設はあるものの、学園都市であるため他の企業が出店しづらく、企業からの需要が少ないので地価が上がりにくくなっています。さらに、学校の開設とともに開発が進んだため、現代では利便性が悪くなってしまった地域ともいわれています。
ただし、今後は再開発が検討されているため、整備が整うに連れて地価が高額化する可能性があります。開発とともに、地価の動向には要注目の地域です。
2-1-3.小山町
少し地味な印象があり、知名度ではそこまで高くない地域が小山町です。町田市の代表とはいえない地域ですが、実は小山町は町田市の中でも地価平均が高額な地域に名を連ねています。
なぜ高額な地価となっているかというと、小山町は神奈川県と隣接しており、隣接自治体である相模原市の橋本が、若者が集まる人気エリアとなっているからです。地理的には、中心部である橋本駅までは距離があるものの、県をまたいだ路線バスが運行していることから、利便性が高くなっています。
小山町の地価平均は約15万円とあまり高くありません。ですが、町田駅周辺から離れることで下落していた地価が、小山町や橋本に近くなるに連れて高くなっているという特徴があります。郊外だからといって地価が著しく安いわけではありませんので要注意です。
2-2.市内の地価の地域差
町田市の地価が高額なところは、JR・小田急町田駅の周辺に固まっています。これらの地域は住宅地よりも商業地としての需要が伸びている地域のため、相続には大きく関係していないといえるでしょう。
一方で、地価の低い地域は住宅地として利用されている地域ですが、実は駅周辺を除けば、どれだけ駅から離れた地域でも、地価は大きく変わりません。ただ、町田市の中域は例外です。町田市の中心部は、鉄道の駅がなく利便性が悪くなっており、農地の整備が進んでいることで住宅地としての需要がありません。
そのため、町田市の中心部に位置している地域は地価が低い傾向にあります。そして、中心部から離れている地域は、他県、他市などに近いため、町田市の駅は無くても隣接する自治体の交通網が使用でき、地価が下がりにくい傾向があります。
つまり、中心部を取り囲むように、地価が高額となっているのが町田市の特徴です。中域は今後も都市開発が進みにくいことが予想されますので、この差が埋まるのは難しいかもしれません。
3.所得と富裕層
相続税に大きな影響を及ぼす所得。町田市の相続税の納税義務者数は約20万人、課税対象所得は約7,500億円です。これを一人あたりの課税対象所得へ計算し直すと、約380万円となります。
この金額は、400万円以上の所得が多い東京都の中では低い数字となっており、都内では富裕層が多いとはいいにくいです。しかし、1,500以上ある全国の自治体の中では上位50の地域に入っているため、全国的に見れば所得が高額な富裕層が多い地域といえるでしょう。
また、地価に比べて所得が多いのは、地価が周囲の地域よりも安いことで、都心部で働く人が多く生活していることが考えられます。特に、町田市は東京だけでなく神奈川にも近い地域のため、2つの地域のベッドタウンとして機能が高いからでしょう。
4.町田市の税理士事情
高額な所得を受け取っている富裕層が多い町田市では、相続税の高額化が予想されます。そこで、有能な税理士へ依頼して、適切な相続税対策を講じることが必要となります。
町田市に在籍している税理士数は237名です。町田市の課税件数が482件ですので、件数の約半分程度の税理士が在籍していることとなります。ただ、相続税は納税がなくても申告しなければならず、その際の書類などの作成を含めると、不足気味であるといえます。
そのため、相続が開始したらすぐに依頼できるように、生前から相続に強い税理士を探しておく必要があります。町田市は東京と神奈川、どちらの都心部へもアクセスが可能なため、税理士が分散してしまい町田市に在籍する人数が減ってしまったのかもしれません。
節税対策をしっかりと実践し、確実に相続税を抑えるためにも、一歩早い税理士探しを心がけて、大切な遺産を必要以上に減らさないようにしましょう。
【参考】町田市内の相続関連機関一覧
町田市内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2017年9月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
町田税務署 | 〒194-8567 東京都町田市中町3丁目3番6号 | 042-728-7211 |
町田都税事務所 | 〒190-0022 東京都立東京都川市錦町4-6 | 042-523-3171 |
町田市役所 | 〒194-8540 東京都町田市中町1-31-12 | 042-728-5111(代表) |
東京法務局 町田出張所 | 〒194-0022 東京都町田市森野2丁目28番14号 町田地方合同庁舎 | 042-722-2414(代表) |
町田公証役場 | 〒194-0021 東京都町田市中町1-5-3 | 042-722-4695 |
東京家庭裁判所 | 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 | 案件により異なる HP参照 |
東京税理士会 町田支部 | 〒194-0022 東京都町田市森野1-34-10 第1矢沢ビル4階 | 042-729-0777 |
東京司法書士会 町田支部 | 〒194-0022 東京都町田市森野1丁目32版12号 森谷ビル4F-R | 042-710-1218 |
東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館6階 | 03-3581-2201 |
第一東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館11階~13階 | 03-3595-8585(代表) |
第二東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館9F | 03-3581-2255 |