目黒区の相続と税理士事情
東京都の西部に位置する目黒区。繁華街やビジネス街ではなく、住宅街として発展している目黒区には、どのような相続の特徴があるのか確かめていきましょう。
1.目黒区の相続事情
平成27年度のデータでは、目黒区の相続税の申告件数は815件、そのうち実際に相続税が課税されたのが587件です。死亡者数に対する課税割合が30.65%、相続1件あたりの納付税額が約4,000万円となっています。
このデータを23区の他の地域と比べてみると、課税割合、1件あたりの納付税額とともに、上位に位置する数字となっています。ちなみに、課税割合の平均が16.78%、1件あたりの納付税額の平均金額が約3,000万円ですから、目黒区の課税割合、1件あたりの納付税額がいかに高いかが分かります。
つまり、目黒区の相続は、他の地域によリも相続税が課税されやすく、その課税金額も高額化していることだといえます。そのため、節税対策やそれに伴う税理士への依頼が重要な地域となっています。
2.目黒の地価事情
相続税額への影響が大きい地価。目黒区の代表的な地域の特徴から、どのように地価が変わっているのか、その特徴を見ていきましょう。
2-1.目黒の代表的な土地の特徴と地価
2-1-1.目黒
区と同じ名前を持つ地域である目黒。一般的にはJR目黒駅の周辺の地域を指すことが多いですが、実際に目黒駅があるのは品川区です。そのため、駅のある品川区上大崎周辺も、目黒地域に含まれることがあります。
一方で、区域としての目黒には鉄道の駅がないため、区を超えて目黒駅が区民の足として使用されています。また、目黒は落語「目黒のサンマ」の舞台としても有名です。そこで、この地域では秋になると目黒のサンマ祭りが開かれています。
落語が披露されるのはもちろん、来場者には焼かれたサンマが無料で振る舞われています。今では秋の風物詩となっており、20年以上続く伝統的なお祭りとして、多くの人が来場しています。
目黒の地価平均は約120万円と、目黒区内で6番目に高額な地域です。ただ、地名としては中目黒や上目黒など、地価が高額な地域も含まれているため、価格の幅が広くなっています。
2-1-2.自由が丘
目黒区の南部に位置しており、高級住宅街として有名なのが自由が丘です。丘という地名はあるものの、駅周辺は沼を埋め立てて作られた地域で、このあたりは周りに比べて土地が低くなっています。
自由が丘が現在のような高級住宅街が形成されたのは、鉄道が開通した後です。元々この辺りは竹やぶだった地域で、鉄道開通後に一気に土地開発が行われ、急速に発展しました。そして、映画や小説の舞台となったこと、芸能人が多く自宅を構えたことから、高級住宅街としてのイメージが広まったといわれています。
現在でもこうした高級なイメージがあるものの、一方では庶民派、親しみやすい街としてメディアなどで取り上げられることも多くなっています。時代とともにイメージが変化しており、今後はどのようなイメージへ変わっていくのか注目の地域です。
自由が丘の地価平均は、約184万円と目黒区で2番目に高額な地域となっています。駅周辺が高額な地価となっていますが、少し離れた地域でも100万円を超えている地域があります。そのため、全体的に地価が高額になっており、高級住宅街のイメージそのままの地価の特徴となっています。
2-1-3.上目黒・中目黒
目黒区には区名と同じ名前が付けられた地域が多くあり、上目黒や中目黒はその中でも有名な地域です。もともと目黒区は住所と汎用的な地域名が混同されており、地域の分け方が少し特殊になっています。
上目黒や中目黒もその例に当てはまり、地名としては分かれているものの、合わせて中目黒といわれることや、全体を目黒地域として認識されることがあります。上目黒や中目黒は、目黒区の行政の中心地となっており、近年は中目黒駅の周辺が再開発され、超高層タワーマンションなどが建設されました。
特に、再開発によって建設された複合施設「中目黒ゲートタウン」は、中目黒の新たな顔となっています。中目黒ゲートタウンには、高層のオフィスビルを中心に、商店街や集合住宅、図書館などの公共施設が建てられ、名称通り小さな街が形成されています。
上目黒の地価平均は約200万円、中目黒の地価平均は約120万円で、駅に近い上目黒は目黒区内で最も地価が高額な地域です。中目黒は上目黒よりも地価が安いですが、それでも4番目に高額な地域となっています。
2-2.地価の高い地域・低い地域
それでは、地価に着目して、高額な地域、低額な地域の特徴を確かめていきましょう。目黒区は全域が住宅街として発展しているため、他区のように商業施設やオフィスビルが多い地域の地価が高額になっている、ということはありません。
ただ、他の地域と同様に上目黒などの中心駅に近い地域の地価は高額化しています。目黒区内に他の鉄道の駅がないわけではありませんが、中心部は単線駅となっています。交通アクセスの手軽さから考えると、中目黒駅や自由が丘駅のような複線駅周辺が利便性、需要が高く地価が高騰していると考えられます。
また、単線駅は駅名のように大学近郊であることが多いです。つまり、学生を中心とした住宅街が形成されているのです。その結果、一軒家よりもマンションやアパートなどが多くなっているため、地価が上がりにくい可能性があります。
目黒区の土地活用は全域でほぼ同じなのですが、生活している層の違いにより、需要が変わり地価にも影響しています。
3.所得と富裕層
次は、目黒区で生活している方の所得から、富裕層の動向について調べていきましょう。
目黒区の所得税の納税義務者数は15万4,144人、課税対象所得は約9,000億円です。これを、納税義務者1人あたりの所得に直してみると、約583万円となります。23区内でこの所得金額を比べてみると、6番目に高額な所得となっています。
また、全国の自治体の中で比べてみると、8番目に高額な所得です。つまり、全国的に見ても目黒区の所得は非常に高額化しており、富裕層が多く集まっている地域と言えます。
そして、相続と関連して考えてみると、目黒区は商業地が少なく居住がメインとなる地域です。そのため、相続財産が高額になりやすいだけでなく、生活している方全員が相続税との関係が深いといえます。高額な相続税を少しでも抑えるための節税対策が必須と言えるでしょう。
4.目黒区の税理士事情
相続税が高額になりやすい目黒区では、効果的な節税対策が必要です。そこで頼りになるのが税理士です。適切な土地評価や法律上可能な範囲での対策を一緒に行うことで、納めるべき税金が安くなるのです。
目黒区に在籍している税理士の数は369人、死亡者1,000人あたりの税理士数は181人です。実は、この在籍人数は23区内でも少なく、下から4番目の数字です。ただ、目黒区は課税割合や1人あたりの納付税額が高いため、税理士の需要が高い地域です。
つまり、いざという時に税理士が不足し、依頼できない可能性があります。実際に、課税件数は587件となっており、在籍している税理士数を超えています。そのため、生前から税理士探しを行っておき、必要になったらすぐに依頼できるようにしておきましょう。
また、生前から税理士を探すメリットには、生前贈与のような亡くなる前から出来る節税対策が行えることも含まれています。適切な節税対策を実践し、少しでも納める税金を抑える工夫をされることをお勧めします。
【参考】目黒区内の相続関連機関一覧
目黒区内の相続に関連する各種機関の連絡先一覧をまとめました(2017年9月現在)。ただし、変更される可能性があることをご了承ください。
機関名 | 住所 | TEL |
---|---|---|
目黒税務署 | 〒153-8633 東京都目黒区中目黒5丁目27番16号 | 03-3711-6251 |
目黒都税事務所 | 〒153-8937 東京都目黒区上目黒2-19-15 | 03-5722-9001 |
目黒区総合庁舎 | 〒153-8573 東京都目黒区上目黒二丁目19番15号 | 03-3715-1111(代表) |
目黒法務局証明サービスセンター (東京法務局目黒証明書センター) | 〒153-8573 東京都目黒区上目黒二丁目19番15号 目黒区役所1階 | 03-3463-7671(代表) |
目黒公証役場 | 〒141-0021 東京都品川区上大崎2-17-5 デルダンビル5階 | 03-3494-8040 |
東京家庭裁判所 | 〒100-8956 東京都千代田区霞が関1-1-2 | 案件により異なる HP参照 |
東京税理士会 目黒支部 | 〒153-0061 東京都目黒区中目黒5-28-17 ニチエービル3階 | 03-3715-1580 |
東京司法書士会 目黒支部 | 〒152-0032 東京都目黒区平町1-26-17 ソシアル都立大学駅前507号 | 03-5464-9821 |
東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館6階 | 03-3581-2201 |
第一東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館11階~13階 | 03-3595-8585(代表) |
第二東京弁護士会 | 〒100-0013 千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館9F | 03-3581-2255 |