衆院選・参院選(選挙区・比例代表制)の仕組み

投票 選挙

現在の日本では、衆議院選挙・参議院選挙のどちらも、次の2つを混合した仕組みがとられています。

  1. 選挙区選挙:候補者名で投票し、投票数の多い候補者一人または複数名が当選する。
  2. 比例代表選挙:候補者名または政党名で投票し、投票数の多い政党に所属する候補者が当選する。

ただ、衆議院選挙と参議院選挙では細かい点が異なりますので、それぞれ詳しく解説します。

1.日本の国会は二院制

はじめに、衆議院と参議院の選挙について基礎から簡単におさらいしておきます。

日本の国会は衆議院と参議院の二院制をとっており、どちらも国民による選挙によって国会議員を選びます。

1-1.衆議院の任期と選挙

日本国憲法では、衆議院の任期は4年とされており、選挙で全員を入れ替えます。任期途中でも途中解散があります。
衆議院の定数は、別途、公職選挙法によって決められ、法律改正によって変動します。2017年の衆議院選挙では、衆議院の定数は465です。

日本国憲法第45条
衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

1-2.参議院の任期と選挙

日本国憲法では、参議院の任期は6年で、3年ごとに選挙で半数を入れ替えます。衆議院のように任期途中での途中解散はありません。
参議院の定数も、別途、公職選挙法によって決められ、法律改正によって変動します。2016年の参議院選挙では、参議院の定数は242人ですので、その半分の121人が選挙の対象になりました。

日本国憲法第46条
参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに議員の半数を改選する。

2.選挙の仕組み

2-1.衆議院選挙の仕組み

衆議院選挙では次の2つの選挙方式があり、両方に対して別々の用紙で投票を行います(計2枚の投票用紙に記入します)。
2つを総称して「小選挙区比例代表並立制」と呼ばれます。

①小選挙区選挙②比例代表選挙
議席数289議席※176議席※
単位小選挙区単位
(全国289選挙区※)
ブロック単位/政党単位
(全国11ブロック※)
記入方式候補者名政党名
当選決定方式得票数順ドント式による拘束名簿式

※2017年衆院選時点

①小選挙区選挙

小選挙区選挙では、全国を約300近くの小選挙区に区切り、候補者はある1つの選挙区で立候補します。複数の小選挙区で立候補することはできません。

有権者は自分の小選挙区の候補者の中から1名のみ名前を記入します。他の小選挙区の候補者の名前を書くことはできません。

それぞれの小選挙区で最も得票数の多い候補者1名が当選します。ただし、有効投票総数の6分の1以上の得票が必要です。

②比例代表選挙

比例代表選挙は全国を11ブロックに区切った政党単位であり、各政党は事前に当選順位が決められた候補者名簿を提出します。
小選挙区選挙の候補者が比例代表選挙に重複して立候補することが認められていますので、小選挙区選挙で落選しても比例代表選挙で復活当選することがあります。

有権者は政党名1つを記入します。

衆議員選挙では、「ドント式による拘束名簿式」という方式がとられており、各政党ごとに投票された割合で議席が割り当てられ、その政党の候補者名簿であらかじめ決められ順番に当選となります。

2-2.参議院選挙の仕組み

参議院選挙では次の2つの選挙方式があり、両方に対して別々の用紙で投票を行います(計2枚の投票用紙に記入します)。

①選挙区選挙②比例代表選挙
議席数73議席※48議席※
単位各都道府県単位
(全国45区※)
全国単位/政党単位
(全国1ブロック※)
記入方式候補者名政党名または候補者名
当選決定方式得票数順ドント式による非拘束名簿式

※2016年参院選時点、鳥取・島根と徳島・高知は隣接県との合区

①選挙区選挙

選挙区選挙では、各都道府県ごとに区切り、候補者はある1つの選挙区で立候補します。複数の選挙区で立候補することはできません。

有権者は自分の選挙区の候補者の中から1名のみ名前を記入します。他の選挙区の候補者の名前を書くことはできません。

それぞれの選挙区での議席は人口に応じて決定されます。人口の多い都道府県では議席数が多く、人口の少ない都道府県では議席数が少なくなります。

2016年参院選では選挙区定数の10増(北海道・東京・愛知・兵庫・福岡各2人)10減(宮城・新潟・長野各2人、鳥取・島根と徳島・高知を合区し各2人)が行われ、各都道府県の定数は次のようになりました。

選挙区都道府県
2人区(1人改選)32下記以外
4人区(2人改選)4茨城県、静岡県、京都府、広島県
6人区(3人改選)5北海道、埼玉県、千葉県、兵庫県、福岡県
8人区(4人改選)3神奈川県、大阪府、愛知県
12人区(6人改選)1東京都

②比例代表選挙

比例代表選挙は全国単位/政党単位であり、各政党は事前に候補者名簿を提出します。当選順位は決められていません
選挙区選挙の候補者が比例代表選挙にも重複して立候補することは認められていません

有権者は政党名1つまたは各党の名簿に記載されている候補者名1名を記入します。
政党名を記入した場合はその政党の総得票数がプラス1となり、候補者名を記入した場合はその候補者に1票が入ると同時にその候補者が所属する政党の総得票数もプラス1となります。

参議員選挙では、「ドント式による非拘束名簿式」という方式がとられており、各政党ごとに投票された割合で議席が割り当てられ、その政党内では個人名で得票数の多い候補者から順番に当選となります。

2-3.衆院選と参院選の仕組みの違い

衆院選と参院選のどちらも仕組みが似ていますが、細かい違いをまとめておきます。

衆議院選挙参議院選挙
①選挙区制選挙区全国289の小選挙区※全国45の選挙区※
記入方法候補者名候補者名
当選決定方式最多得票者1名得票順に複数名
②比例代表制ブロック全国11ブロック※全国1ブロック※
記入方法政党名政党名または候補者名
当選決定方式ドント式による拘束名簿式
(名簿記載順に当選)
ドント式による非拘束名簿式
(政党内での得票数順に当選)
重複立候補認められている
(復活当選あり)
認められていない
(復活当選なし)

※2017年衆院選時点、2016年参院選時点

3.比例代表の当選決定の仕組み

比例代表制はやや仕組みが複雑なため、詳しく解説します。

3-1.ドント方式

ドント方式とは比例代表選挙における議席配分の計算方法の一つで、現在、日本の衆議院議員比例代表選挙、参議院議員比例代表選挙で採用されています。

文章で説明すると複雑ですので、具体的を示します。

【条件】
・対象議席数:6議席
・対象政党:政党A、政党B、政党C、政党D
・各党の得票数:政党A1,200票、政党B900票、政党C600票、政党D300票

政党A政党B政党C政党D
得票数÷11,200
(1)
900
(2)
600
(3)
300
得票数÷2600
(3)
450
(5)
300150
得票数÷3400
(6)
300200100
議席数3210

【決定方法】
手順① 各政党の得票数をそれぞれ1、2、3、・・・で割った表を作成します。
手順② 上記の表の値をすべて比較して、値が大きい順に6つ選び(赤色の数字)、縦の列を見て選ばれた欄の数が各政党の議席数になります(政党A3議席、政党B2議席、政党C1議席、政党D議席なし)。

3-2.非拘束名簿式

非拘束名簿式とは、当選する順番を決めずに、有権者の投票数によって当選順番を決める方法です。

参議院議員選挙の比例代表選挙では、政党名または候補者名を記入します。政党名の得票数と候補者名の得票数の合計がその政党の総得票数となり、その総得票数に応じてドント方式で各政党の議席数が決まります。そして、政党内では、各候補者の得票数に応じて当選が決まります。有権者は政党を選ぶだけでなく、その政党内での候補者も指定することができます

具体例で確認します。

【条件】
・対象議席数:3議席
・対象政党:政党A、政党B
・各党の総得票数:政党A450票、政党B300票

【各政党の候補者名簿】

政党A政党B
C氏F氏
D氏G氏
E氏H氏

【各政党の得票数】

政党A200票政党B50票
C氏(当選150票F氏(当選130票
D氏(当選70票G氏80票
E氏30票H氏40票
政党Aの総得票数450票政党Bの総得票数300票
政党A政党B
得票数÷1450
(1)
300
(2)
得票数÷2225
(3)
150
議席数21

【決定方法】
手順① 各政党の総得票数を計算
手順② ドント方式により、政党Aは2議席、政党Bは1議席を獲得
手順③ 各政党内で候補者の得票数の多いほうから当選

D氏はG氏より得票数が少ないですが、所属する政党Aの総得票数が多いため当選となります。

3-3.拘束名簿式

拘束名簿式とは、名簿で当選する順番が各政党によって決められている方式です。簡単にいえば、当選させたい順に書いた名簿の上から順番に当選していきます。

衆議院議員選挙の比例代表選挙では、政党名のみを記入し、政党名の得票数に応じてドント式で議席数が決まります。有権者は政党を選ぶことはできますが、当選者は各政党に委ねられます

具体例で確認します。

【条件】
・政党Aは、選挙区選挙で4人を選出し2人が当選、比例代表選挙で5人を選出し2議席を確保
・選挙区と比例代表で重複する候補者がいる
・選挙区ではA氏とB氏が当選

【選挙区の候補者と結果】

選挙区候補者当落惜敗率※
第1選挙区A氏当選
第2選挙区B氏当選
第3選挙区C氏落選80%
第4選挙区D氏落選60%

惜敗率:選挙区における当選者の得票数に対する落選候補者の得票数の割合のこと。たとえば、当選者が100票で落選者が80票なら、惜敗率は80%。

【比例代表の候補者名簿】

届出順位候補者選出要件当落
1位E氏比例代表単独当選
2位B氏小選挙区当選
C氏小選挙区落選 惜敗率80%当選
D氏小選挙区当選 惜敗率60%落選
3位F氏比例代表単独落選

選挙区と比例代表で重複する候補者がいる場合、それらの候補者の名簿順位を同一にすることができます。このときは、「惜敗率」を使って同一順位内の各候補者の順位を決定します。

手順① 届出順位1位のE氏が当選
手順② 届出順位2位は3名いるが、選挙区で当選のB氏は除外。C氏とD氏では選挙区での惜敗率の高いC氏が当選。

仮にE氏がまったく人気のない候補者だったとしても、比例代表の名簿でトップに書いてあり、その政党が議席を獲得できれば当選します。

4.例:参院選比例代表選挙の得票数と獲得議席

それでは、実例として、2016年参議院選挙の比例代表選挙での各政党の得票数と獲得議席の関係を確認してみます。
なお、大きな表になりますので、下記のURLを別ウィンドウにてお開きください。

【参照】2016年参院選 比例代表選挙 各政党の得票数と獲得議席数

ドント方式の被拘束名簿式で行います。

手順① 各政党の総得票数を計算
→正党名での記入票と候補者名での記入票の合計を計算します。

手順② ドント方式により、各政党の総得票数を1,2,3・・・で割った表を作成し、数値の大きい順に定数の48議席分を選び出します。選んだセル(黄色の網がけ)の数が各政党の獲得議席です。

手順③ 各政党内で候補者の得票数の多いほうから、獲得議席数の人数が当選します。ここでは、各候補者の得票数は掲載しませんので、他サイトをご覧ください。

比例代表で当選するには、所属する政党の総得票数が多いことと、政党内で他の候補者よりも得票数が多いことの2つの条件が必要になります。そのため、自分の得票数が少なくても当選したり、自分の得票数が多くても落選するパターンが出てきます。

たとえば、比例代表の当選者の中で最も得票数が少ない人の得票数は18,467票ですが、所属する公明党の総得票数が多く7議席獲得できており、公明党内で7位以下は得票数が少ない人が多かったため当選しています。一方、落選者の中で最も得票数の多い候補者の得票数は288,780票ですが、所属する新党改革の総得票数が少なく議席をまったく獲得できなかったため落選しています。

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